第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション66(II-P66)
外科治療 6

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:野村 耕司(埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

[II-P66-01] 内臓逆位を伴う完全大血管転位症に対する新生児動脈スイッチ手術

殿村 玲, 岡村 達, 山田 有希子, 山本 隆平 (長野県立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:内蔵逆意, 完全大血管転位, 動脈スイッチ手術

【背景・目的】内臓逆位に伴う鏡像型右胸心に完全大血管転位(TGA)を合併した症例は稀である。同症例に対し新生児動脈スイッチ手術(ASO)を施行し、良好な結果を得たため、その臨床像について文献的考察を含めて報告する。
【症例】日齢13、男児。内臓逆位のみ胎児診断されていた。在胎38週4日、3668gで前医にて出生。生直後より全身チアノーゼを認め、酸素投与で改善を認めないため、気管内挿管施行、Lipo-PGE1を開始され当院新生児搬送。心臓超音波検査で{I,L,L}、完全内蔵逆位、TGA(I)、PDA、PFOと診断。冠動脈走行はShaher1型の鏡面像であった。心房間交通は十分に保たれていたためBASは施行せず、第13病日にASOを施行した。
【手術】術者は患者の右側に立ち手術を開始。胸骨正中切開アプローチ。上行大動脈と肺動脈の位置関係は前後であった。CPB確立後、術者は患児の左側に移動した。PDAを離断し、大動脈遮断。左側右房からPFOを介して左房ベントを挿入。大動脈、肺動脈を離断、冠動脈を移植。LeCompte maneuverを行い、グルタールアルデヒド処理した自己心膜で肺動脈を形成。人工心肺からの離脱は良好で、右季肋部に腹膜透析カテを挿入し、閉胸閉創し手術終了。
【術後経過】術後6日で抜管、心房性不整脈に対し治療を要したが、術後59日で自宅退院となった。退院時心臓超音波検査では、左室壁運動良好、AR(-)、PR(-)、肺動脈狭窄を認めなかった。
【結語】内臓逆位に完全大血管転位を合併した稀な症例に対し、新生児動脈スイッチ手術を施行し良好な結果を得た。