[II-P67-01] 未熟児動脈管開存症に対する外科手術成績の検討
キーワード:未熟児, 動脈管開存症, 手術成績
【背景】動脈管開存症(PDA)に対する治療は、Amplatzer Ductal Occluderに代表されるようなdevice治療が一般的である。しかし未熟児では薬物療法が第一選択ではあり、無効例に対しては外科的PDA 結紮術が必要とされる。【目的】当院における未熟児動脈管開存症に対する外科治療成績の検討【対象】2013年1月~2018年12月までの6年間に、当院NICUに入院した未熟児は999人で、PDAに対してインドメタシン投与を行ったのは75例。その中で外科的にPDA 処理を行った21人を対象とした。平均観察期間2.1 ±1.5 年。【結果】男女比 10 : 11, 出生時平均在胎週数25.5 ± 2.1 週, 体重 703± 223 g。双生児は5組6例、遺伝子異常は21 trisomy1例。合併症: 壊死性腸炎のためstoma造設1例、重症大動脈弁狭窄症1例。外科手術までのインドメタシン与回数は1~9回(中央値5回)。手術時日齢は 25.8 ± 20.7 日, 修正週数 29.2 ± 3.1週、体重767 ± 261 g. 手術は全例NICUで実施し、左開胸で行った。平均手術時間は 49 ± 15 分。30日死亡なし。出血再開胸、創部感染などの周術期合併症無し。在院死亡3例で術後 50, 72, 246日後にそれぞれ呼吸不全、腸管壊死、肝不全で失った。死亡3例中、外科的再介入を要したのは2例で、各々腸瘻造設、胆のう瘻造設を行った。生存18例中9例に,同一入院期間中に外科的再介入を必要とした。鼠径ヘルニア修復術7例、stoma閉鎖術1例、重症大動脈弁狭窄症を合併していた1例はBAVを行った。生存18例の平均入院期間は65 ~ 804 日で、12例が200日以内の退院だった。生存18例中6例に再入院を認めた。呼吸器感染症3例、心不全1例、予定外科手術2例。再入院回避率は術後1、2年で各々70.3, 60.3%(Kaplan Meier)。【結論】未熟児PDAに対する外科治療生成績は満足できるものであった。しかし、入院期間中は消化器合併症、退院後は呼吸器合併症への再介入率が高く、注意深い経過観察が必要と考えられた。