第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

外科治療

ポスターセッション67(II-P67)
外科治療 7

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:保土田 健太郎(埼玉医科大学国際医科センター 小児心臓外科)

[II-P67-02] 当院における未熟児動脈管開存症の外科治療成績

坂本 貴彦1, 滝口 信1, 梅原 伸大2 (1.松戸市立総合医療センター 小児心臓血管外科, 2.松戸市立総合医療センター 心臓血管外科)

キーワード:PDA, 未熟児, 外科手術

【目的】 日本未熟児新生児学会より報告された未熟児動脈管開存症(PDA)治療ガイドラインによると、「手術件数が多い施設で行われる治療ほど退院時死亡を少なくする可能性が示唆された」とある。今回、当院の手術成績を後方視的に検討し考察を加えた。【対象・方法】対象は2006年から2018年までに外科手術を施行した未熟児PDA(在胎週数37週未満かつ出生体重2500g未満) 33症例。前期群(2006-2012, A群, N=14)と後期群(2013-2018, P群, N=19)に分けて検討した。手術はNICU内で、左第3もしくは4肋間開胸での結紮術もしくはクリッピング術を施行した。【結果】平均在胎週数:A群:25.8±2.8週、P群:26.7±2.9週、出生体重:A群:818±456g、P群:977±454g。術前シクロオキシゲナーゼ阻害薬投与クールはA群:2.4±1.1、P群:3.7±1.8, p = 0.02(P群に再開通例が多い)。手術時年齢はA群:18.1±8.3日、P群:18.9±9.7日、手術時体重はA群:759±434g、P群:1014±434gであった。術前頭蓋内出血4例(すべてA群)、術前NEC5例(A/P; 2/3例)、術前からの人工呼吸器装着は27例(A/P; 13/14例)であった。平均手術時間はA群:61±18分、P群:41±12分, p<0.01で症例の積み重ねとともに短時間になる傾向があった(R = 0.64, p<0.05)。手術関連合併症として術後NEC1例、イレウス1例(ともにA群)、創部感染1例(P群)を認めた。30日死亡は認めなかった。遠隔死亡を2例に認めた(肝機能障害(A群)、致死性不整脈(P群))。抜管までの期間はA群:56±37日、P群:29±51日で、退院時までの1日当たりの体重増加はA群:11.4±3.4g/日、P群:20.5±3.9g/日, p<0.01であった。【結語】術前に肺出血、頭蓋内出血や腎機能障害を認め、人工呼吸器管理を要する症例が大半であったが、良好な未熟児PDAの手術成績が得られた。特に後期群では手術時間の短縮と栄養管理を含めた適切な術後管理により早期退院、早期成長が認められた。