[II-P67-03] 低出生体重児の症候性動脈管開存への外科的介入の意義
キーワード:新生児, 外科治療, 動脈管
【目的】早産・低出生体重児の症候性動脈管開存(PDA)について、薬物療法が奏功しない場合には可能であれば外科的閉鎖術が選択されることになるが、その適応・タイミングについては各施設間で相違がみられるのが現状である。当院では、薬物療法に抵抗性あるいは副作用が生じるようであれば、その時点で速やかに外科的に介入する方針としている。今回当院における外科治療の現状について解析し、その適応・タイミングの妥当性について評価した。【方法】2010年から2018年の間に症候性PDAに外科的に介入した低出生体重児24例を対象とし、治療成績について検討した。【結果】24例中超低出生体重児は16例(67%)であり、全体の平均出生体重は0.921kg(0.331~2.403kg)、在胎週数は22週8日-40週4日であった。手術時日齢の中央値は12日(1日-74日)、手術時平均体重は1.099kg (0.331~2.403kg)で12例は1kg未満であった。染色体異常は2例(18 trisomy:1, 21 trisomy:1)。合併心疾患を13例(ASD/PFO:6, VSD+ASD:4, VSD:2, DORV+PS:1)、術前合併症を7例(脳出血:4, 壊死性腸炎:3)に認めた。手術は患児の全身状態により手術室あるいはNICUベッドサイドで麻酔科管理下に実施した。全例、右側臥位、左第3肋間開胸で動脈管を同定・剥離しクリッピングをおこない、経胸壁心エコー検査でPDA leakがないことを確認し手術を終了した。平均手術時間は40分だった。術前より重度脳出血とsepsisを呈していた児を術後43日目に失った以外、死亡例を認めず全例退院した。術後合併症は左反回神経麻痺を3例認めたのみで、術後在院日数の中央値は118日であった。【結論】症候性PDAへの外科的閉鎖術は、超低出生体重児であっても安全に実施可能で、手術成績も良好であった。薬物療法が奏功しない場合、早期に積極的に外科的に介入する当院の治療方針は、妥当であると思われた。