[II-P67-04] 1000g未満の超低出生体重児(ELBWI)に対する未熟児動脈管開存症の早期外科的治療介入
Keywords:未熟児動脈管, 超低出生体重児, 早期手術介入
【背景】1000g未満の超低出生体重児(ELBWI)では,その未熟性から動脈管開存症(PDA)に対する適切な治療方針の決定が重要である.当院では2013年10月に先天性心疾患センターを開設し,小児心臓外科,小児循環器内科,新生児科が密接に連携し,早期に積極的な治療介入を行っている.【対象と方法】2013年10月~2018年12月にPDA閉鎖術を施行したELBWI 16例を対象とし,その外科的治療成績を後方視的に検討した.また対象症例を早期手術介入(E)群(日齢14以下),通常(N)群(日齢15以上)に分け比較検討した.【結果】女児10例(63%).在胎週数(GA)は22~29(26)週.出生時体重は 418~970(709.5)g.手術時日齢は3~30(13.5)日,体重は418~1014(764.5)g.14例(88%)に術前インドメタシン(IND)投与が施行され,1~3(1.4±0.6)クールであった.手術アプローチは全例が左後側方開胸,clipping閉鎖であった.術前に脳出血4例,CPA蘇生1例認めた.壊死性腸炎なし.手術時間は30~92(63.8±18.5)分.術後観察期間は6~59(27±18)ヶ月で死亡例なし.術後合併症は肺出血1例,腹部手術2例(消化管穿孔1,回腸閉塞1).遺残短絡,反回神経麻痺,創部感染,乳び胸はなし.全例が軽快退院(1例転院).術後入院期間は73~427(127)日,退院時体重は2432~4964(2990)gであった.E群とN群に分けて検討すると,患者背景として出生時体重(p<0.01),手術時体重(p<0.01)が有意にE群で低かった.性別,GA,IND投与回数,Cr値,dBP/sBP ,強心剤使用の有無に有意差はなし.手術時間は有意差なく,術後合併症に関しても有意差を認めなかった.術後入院期間はN群が有意に短かった(p=0.03)が,退院時体重は有意差を認めなかった.【結論】当施設でのELBWI,PDAに対する手術成績は概ね満足のいくものであった.より低体重児の方が早期外科介入を要するが,合併症を生じる症例も存在するため,小児循環器内科,新生児科とより密な連携を取る必要がある.