第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧

ポスターセッション68(II-P68)
肺循環・肺高血圧 5

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科学講座)

[II-P68-02] 麻酔科医による全身麻酔管理下での小児心臓カテーテル検査 ~肺高血圧の解釈~

名和 智裕, 親谷 佳佑, 吉川 靖, 澤田 まどか, 高室 基樹 (北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科)

Keywords:心臓カテーテル検査, 肺高血圧, 全身麻酔

【背景】心臓カテーテル検査(心カテ)は血行動態評価のGold Standardな検査で, 最近では安全管理の問題で麻酔科管理での検査実施が増加している. しかし, 麻酔科管理での心カテのデータの解釈についての検討は少ない.【目的】肺高血圧(PH)の指標である平均肺動脈圧(mPAP)と肺血管抵抗(Rp)の解釈について検討した.【方法】2016年1月から2019年1月までに当院で麻酔科医による気管内挿管・全身麻酔下で施行された心カテ448件の中で, mPAP 20mmHg以上またはRp 3単位・m2以上でPHと考えられた79件を対象とし, 肺血流量(Qp), 体血流量(Qs), 体血管抵抗(Rs), 大動脈血酸素飽和度(AoO2), 混合静脈血酸素飽和度(MVO2), 臨床経過との関係を検討した. 検定はウェルチのt検定を用い, p<0.01を有意とした. 【結果】mPAP 20mmHg以上は45件存在し, 短絡血流なし群は16件でQp=Qs 2.8 ± 0.5 L/min/m2, Rp 4.5 ± 1.7単位・m2(3単位・m2以上は14件), 短絡血流あり群(いずれも肺血流増加型)は29件でQp 5.6± 1.7 L/min/m2, Qs 2.9 ± 0.6 L/min/m2, Qp/Qs 2.0±0.6, Rp 2.0 ± 0.6単位・m2(3単位・m2以上は12件)で臨床経過からPHの診断に矛盾しなかった. 一方, mPAP 20mmHg未満は34件存在し, 短絡血流なし群は22件でQp=Qs 2.3 ± 0.4 L/min/m2, Rp 3.7 ± 0.6 単位・m2, 短絡血流あり群(いずれも肺血流減少型)は12件でQp 2.2 ± 0.3 L/min/m2, Qs 3.9 ± 1.0 L/min/m2, Qp/Qs=0.6 ± 0.2, Rp 3.8 ± 0.7 単位・m2(全て3単位・m2以上)で, 両群は順にRp/Rs 0.18 ± 0.1/0.48 ± 0.2と短絡血流あり群で有意に高く(P<0.001), AoO2 96.6 ± 1.8/76.8 ± 10.5 %, MVO2 65.3 ± 4.2/51.3 ± 6.0%と短絡血流あり群で有意に低く(ともにP<0.001), 短絡血流あり群で臨床経過からPHの診断が疑われる症例が存在した.【考察】mPAP, RpはQpにより変動する. 全身麻酔下の心カテではQpが低下する場合があり, PHの解釈には注意が必要である.