第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション

心血管発生・基礎研究

ポスターセッション70(II-P70)
心血管発生・基礎研究 1

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:加藤 太一(名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学)

[II-P70-04] 川崎病モデルマウスにおいてインターロイキン- 1β阻害薬は血管炎を抑制する

橋本 佳亮1, 鈴木 伸子1, 松井 亮介1, 築野 香苗1, 橋本 康司1, 渡邉 誠1, 上砂 光裕1, 勝部 康弘1, 三浦 典子2, 大野 尚人2, 深澤 隆治1 (1.日本医科大学 小児科, 2.東京薬科大学薬学部 免疫学教室)

Keywords:CAWS, IL-1β, 自然免疫

【背景】川崎病(KD)は全身性の血管炎であり、自然免疫の異常との関連が疑われている。自然免疫におけるIL-1シグナルは重要であり、我々はCandida albicans water-soluble fraction (CAWS)を用いた川崎病モデルマウスにおけるIL-1β抗体の効果を研究した。【方法】5週齢のDBA/2マウスに対し、CAWSを連続5日間腹腔内投与し、血管炎を誘発した。マウスIL-1βモノクローナル抗体(01BSUR)を、様々な濃度(2.5 mg/kg, 5.0 mg/kg, 10.0 mg/kg)、および様々な投与時期(CAWS投与開始2日前、同日、2日後、5日後、7日後、14日後)で投与を行った。4週間後に血管炎の程度を組織学的・血清学的に評価した。【結果】組織学的にすべての投与濃度群で血管炎の抑制が確認され、IL-1β, IL-6, TNFαはCAWS単独投与群と比較すると低値であった。投与時期の検討では、CAWS投与開始後7日までの群で血管炎は抑制された。CAWS単独投与群と比較すると、IL-6はすべての群で低値であった一方、IL-1β, TNFα, IL-10はCAWS投与以前に01BSUR投与を行った群で低値であったが、CAWS投与後に01BSUR投与を行った群では有意差を認めなかった。【考察】01BSURは、CAWS投与後7日までに投与することによりCAWS誘発血管炎を抑制した。CAWS投与以前に01BSURを投与した群はIL-1βパスウェイそのものを抑制し血管炎を抑制する一方、CAWS投与後に01BSUR投与を行った群では、炎症性サイトカインが上昇した後にも01BSURが何らかの炎症抑制効果を持つことが示唆された。【結論】01BSUR はCAWS誘発血管炎を抑制した。IL-1シグナルを抑制することは川崎病治療において有用であると思われた。