[II-P70-04] 川崎病モデルマウスにおいてインターロイキン- 1β阻害薬は血管炎を抑制する
キーワード:CAWS, IL-1β, 自然免疫
【背景】川崎病(KD)は全身性の血管炎であり、自然免疫の異常との関連が疑われている。自然免疫におけるIL-1シグナルは重要であり、我々はCandida albicans water-soluble fraction (CAWS)を用いた川崎病モデルマウスにおけるIL-1β抗体の効果を研究した。【方法】5週齢のDBA/2マウスに対し、CAWSを連続5日間腹腔内投与し、血管炎を誘発した。マウスIL-1βモノクローナル抗体(01BSUR)を、様々な濃度(2.5 mg/kg, 5.0 mg/kg, 10.0 mg/kg)、および様々な投与時期(CAWS投与開始2日前、同日、2日後、5日後、7日後、14日後)で投与を行った。4週間後に血管炎の程度を組織学的・血清学的に評価した。【結果】組織学的にすべての投与濃度群で血管炎の抑制が確認され、IL-1β, IL-6, TNFαはCAWS単独投与群と比較すると低値であった。投与時期の検討では、CAWS投与開始後7日までの群で血管炎は抑制された。CAWS単独投与群と比較すると、IL-6はすべての群で低値であった一方、IL-1β, TNFα, IL-10はCAWS投与以前に01BSUR投与を行った群で低値であったが、CAWS投与後に01BSUR投与を行った群では有意差を認めなかった。【考察】01BSURは、CAWS投与後7日までに投与することによりCAWS誘発血管炎を抑制した。CAWS投与以前に01BSURを投与した群はIL-1βパスウェイそのものを抑制し血管炎を抑制する一方、CAWS投与後に01BSUR投与を行った群では、炎症性サイトカインが上昇した後にも01BSURが何らかの炎症抑制効果を持つことが示唆された。【結論】01BSUR はCAWS誘発血管炎を抑制した。IL-1シグナルを抑制することは川崎病治療において有用であると思われた。