[II-P71-07] 小児の完全房室ブロック患者の運動耐容能に関する検討
キーワード:完全房室ブロック, 運動耐容能, 呼気ガス分析
【背景】完全房室ブロックに対しては様々な種類のペースメーカーのモードが選択出来る。可能であれば、心房と心室を同期させたdual-chamber systemが好ましいとされている。しかし、体格の小さい乳児には、single-chamberの選択を余儀なくされることも多い。また、完全房室ブロックであっても心室レートがある程度保たれていれば、ペースメーカーを植え込んでいない患者もいる。これらの患者のQOLを考える上で、運動心肺機能を評価することは重要である。【目的】完全房室ブロックと診断された患者の運動耐用能を評価すること。【対象と方法】当院でフォローしている2心室循環で完全房室ブロックと診断された合計16人(中央値14歳±6.5、男児5人、女児11人)dual-chamber system(DDD or VDD)(D群:7人)、single-chamber(VVI)(S 群:7人)、植え込んでいない患者(N群:3人)に対して、rampBのプロトコールによるトレッドミルで呼気ガス分析を計24回施行した。また全患者に対して安静時と負荷時に心臓超音波検査を施行した。【結果】最高酸素摂取量(peakVO2 ml/kg/min)は(28.1±3.3 vs 26.9±6.6 vs 36.4±7.5, p=0.005)、Stroke Volumeを反映するpeakVO2/HRの基準値との比(%)は(85.5±16.5 vs 114.0±49 vs 152.0±38.5, p=0.003)で有意にN群が高かった。peakHRは(160±10.75 vs 120±31 vs 122±35.5 p=0.01)有意にD群が高かった。エコー所見は収縮力には有意差は認めなかったが、拡張能を表す僧帽弁輪拡張早期運動速度運動時のe′cm/s(14.8±3.6 vs 16.3±8.3 vs 25±6.9 p=0.046)や安静時のE/e′(9.3±2.1 vs 6.6±1.2 vs 5.4±1.2 p=0.033)の結果でありN群で有意に拡張能が高かった。【結論】D群は運動時に脈拍は上昇しS群に比較すると運動耐容能は高い傾向にあるがN群に比較すると低下していた。ペースメーカーの植え込みにより心臓の拡張能を低下させ、運動耐容能の低下に繋がる可能性が示唆された。