[II-P72-01] 心房中隔欠損における右左短絡発生の血行動態
キーワード:心房中隔欠損, 右左シャント, 奇異性脳梗塞
【背景】心房中隔欠損(ASD)では欠損孔が大きい場合、右心負荷から心不全、不整脈、肺高血圧などを起こすため、治療が必要とされている。また、右左シャント(RLS)により奇異性脳梗塞を起こす危険性が示唆されているが、どの程度のリスクとなりうるのかは不明である。【目的】心房中隔欠損におけるRLS のリスクを経食道エコー下(TEE)、コントラストエコーにより検討する。【対象】2017年1月から2018年12月に当科にて経皮的心房中隔欠損閉鎖術を施行した38例のうち、TEEにてコントラストエコーを行った29例を解析した。年齢6-80(16)歳、男性10、女性19、ASD最大径6.1-22.7(12.7)mm、balloon sizing径7.9-24.7(13.5)使用デバイス径9-30(13.5)mmであった(()は中央値)。【方法】全身麻酔下、鼠径部シースよりコントラスト静注を行い、TEEでRLSを観察した。通常の人工呼吸管理(陽圧換気、PEEP 0)にてRLSを認めない場合、valsalva法(V法)にて同様の観察を行った。【結果】人工吸気下でのRLSは19/29(66%)、V法を含めると28/29(97%)にRLSを認めた。通常の人工呼吸管理下でのRLSは拡張早期に見られた。V法においては陽圧下ではなく、陽圧を中止した瞬間にRLSを認めた。RLSの有無とASD径には差を認めなかった。【考察】RLSはASDの径には関連はなく、V法を含めるとほぼ全例で認められた。ASDはその大きさによらず、脳梗塞のリスクとなる可能性が高い。