[II-P72-03] 心室圧最大変化率‐拡張末期容積関係の後負荷Coupling
Keywords:心機能, dp/dt max, 心室後負荷適合
【背景】一過性前負荷変化時の心室圧最大変化率 (dp/dtmax)‐拡張末期容積関係 (EDV) の傾き(M)は、負荷に非依存の心収縮性を表す指標の一つとして非常に重要である。他の負荷非依存の心収縮性の指標である収縮末期エラスタンスやPreload recruitable strok workに比してより鋭敏に収縮性の変化をとらえられるメリットがある一方で、後負荷とのmatchingを評価する方法が確立していないという欠点がある。後負荷とのmatchingの評価は心臓Energetics、循環病態生理を理解するうえで必要不可欠である故、dp/dtmax-EDV関係の臨床応用上の大きな課題である。今回我々は、dp/dtmax-EDV関係の後負荷とのMatchingを評価する方法を見出したので報告する。【方法と結果】後負荷の指標であるArterial elastanceの収縮に伴う変化を時間の関数としてEa(t)とすると、時間tにおける心室圧P(t)と心室容積V(t)の関係はP(t)=E(t)×{(EDV-V(t)} と表すことができる。P(t)の変化率の最小値をdp/dtminとすると、dp/dtminは通常V(t)が収縮末期容積近辺で起こること、その時のE(t)はEaであること、さらに時間はEmaxに至る時間(tmax)であることから、dpdtmin=Ea/tmax×(EDV-ESV)と書くことができる。一方、MはElastanceモデルから (Emax/tmax) (d EN(tN)dtNmax)と書くことができる。EN(tN)はエラスタンスカーブをEmaxとTmaxで正規化した関数でその形状は個体間でほぼ一定とされるので、MをEaで除してTmaxを掛けた値はEmax/Eaの定数倍となりCouplingの指標となる。犬15例での検証ではEes/EaとM/Ea*Tmaxはよい相関を示した(r=0.77、p<0.01)。【考察】dp/dtmax-EDV関係の傾きは、Ea/TmaxとのCouplingで心室後負荷適合状況を判定することが可能であり、臨床上有用な新しい概念である。