第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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会長賞選別講演(口演)

会長賞選別講演(口演)(II-PAL)

Fri. Jun 28, 2019 10:10 AM - 11:00 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:小山 耕太郎(岩手医科大学医学部 小児科学講座)
座長:山岸 敬幸(慶應義塾大学医学部 小児科学)

[II-PAL-01] 川崎病における冠動脈瘤内径のZ scoreに基づいた退縮の解析 ~ZSP2 study サブ解析~

加藤 太一1, 小林 徹2, 鮎澤 衛3, 深澤 隆治4, 布施 茂登5, 廣野 恵一6, 三谷 義英7, 須田 憲治8, 前田 潤9, 三浦 大10 (1.名古屋大学大学院医学系研究科 成長発達医学, 2.国立成育医療センター 臨床研究企画室, 3.日本大学医学部 小児科学系小児科学分野, 4.日本医科大学 小児科, 5.NTT東日本札幌病院 小児科, 6.富山大学附属病院 小児科, 7.三重大学大学院医学系研究科 小児科学, 8.久留米大学病院 小児科, 9.慶應義塾大学医学部 小児科, 10.東京都立小児総合医療センター 循環器科)

Keywords:川崎病, 冠動脈瘤, 退縮

【背景】川崎病の冠動脈瘤において、退縮の関連因子を大規模なコホートで検討された報告はほとんどない。今回内径のZ scoreによって冠動脈イベントとの関連の解析を行ったZ Score Project 2nd stage(ZSP2)のコホートにおいて、退縮に関する因子について解析した。【方法】1992~2011年に冠動脈造影(CAG)を行った18歳未満の川崎病患者の1,006例のうち、Z scoreが計算でき、#1、 #6に瘤を認めたそれぞれ754例、615例を対象とした。急性期の心エコー所見に基づき、冠動脈瘤の重症度を小瘤Z<5、中等瘤5≦Z<10、巨大瘤Z≧10または≧8mmとし、退縮率についてKaplan-Meier 法にて解析し、Log-rank検定で比較した。また、退縮に関連する因子をCox回帰分析にて検討した。退縮は急性期に生じた冠動脈瘤が30病日以降に冠動脈病変の基準を満たさなくなったもの、退縮率は瘤が確認された冠動脈において退縮を認めた人数ベースの割合と定義した。【結果】診断から5年後、10年後の退縮率は、それぞれ#1で小瘤85.9%、93.5%; 中等瘤 74.2%、82.1%; 巨大瘤 30.0 %、 36.4%、#6で小瘤 83.3%、91.1%; 中等瘤 67.7%、78.2%; 巨大瘤19.9%、27.9%であった。退縮への影響が有意な因子(ハザード比、95%信頼区間)は、#1で巨大瘤(vs. 小瘤、0.31、0.22-0.45)、1歳未満(vs. 1歳以上5歳未満、1.25、1.00-1.56)、初回CAG時複数瘤 (vs. 単数、0.49、0.40-0.60) 、#6で巨大瘤(vs. 小瘤、0.28、0.17-0.45)、初回CAG時の瘤形態が球紡錘状のもの (vs. 球状+紡錘状+管状、0.61、0.42-0.89)、CAG時複数瘤 (vs. 単数、0.43、 0.34-0.54)であった。また、急性期治療を行った時期を1981~1999年、2000~2009年、2010年以降に分けて比較すると、時代が新しいほど退縮率が高かった。【結論】多施設共同研究のZSP 2の二次解析により、冠動脈瘤の急性期Z scoreによる巨大瘤と複数の瘤が有意に退縮率の低さと関連することが明らかになった。