[II-PD04-01] 左心低形成症候群および類似疾患に対する両心室治療
Keywords:左心低形成症候群, 両心室治療, 外科治療
(はじめに)動脈管依存性で、大動脈弓の逆行性血流を認める症例では、左室低型性もしくは大動脈低形成のために左心低形成症候群(HLHS)の診断がなされる。通常、HLHSは単心室治療がなされるが、それらの中にも、両心室治療が達成できる症例も存在しているのも事実である。今回我々はHLHS(関連疾患も含む)と診断された症例に対する両心室治療の経験を検討した。
(対象と方法)
出生直後の心エコー検査にてHLHSと診断された症例のうち、段階的治療後に両心室治療が達成できた10症例である。対象症例は、左右心室が心尖部まで揃って存在していることと、左室の流入血流を改善できる血行動態にあることが条件であった。6例にNorwood手術を初回手術(N群)として行い、4 例に両側肺動脈絞扼術(Bil.PAB)を初回手術(B群)として行った。この2群に分けて比較検討した。
(結果)
両心室治療の年齢(月)はN群:B群=45±35:12±8.5でN群が待機時間が長い傾向にあった。生直後LVEDd(% of N)はN群:B群=98:68、僧帽弁輪径(MV)(%of N)はN群:B群=100:55.5、両心室直前のLVEDdはN:B=98:91、MVはN:B=94:87、術後遠隔期における左室駆出率(%)はN:B=67.3±11:69.3±2.5であった。
(結語)
HLHSと診断された症例においても、個々の症例に対し、左室流入血流を促すことで両心室治療が達成できる症例がある。Norwood 手術ではなく、最近の症例のように両心室治療を目指す症例においては、Bil PABはbridge to decisionとして有用であると考える。
(症例提示)
左心低形成関連疾患の女児(MS,AS,hypo LV,CoA,LSVC)。出生体重2.4kg、大動脈弁73%of N, 僧帽弁78 of Nであった。両側肺動脈絞扼術、その後にASDの狭小化、PDAステント、VSDの拡大術を行った。7ヶ月時に体重4.2kg、大動脈弁92% of N、僧帽弁91% of Nとなり、2心室手術を行い得た。
(対象と方法)
出生直後の心エコー検査にてHLHSと診断された症例のうち、段階的治療後に両心室治療が達成できた10症例である。対象症例は、左右心室が心尖部まで揃って存在していることと、左室の流入血流を改善できる血行動態にあることが条件であった。6例にNorwood手術を初回手術(N群)として行い、4 例に両側肺動脈絞扼術(Bil.PAB)を初回手術(B群)として行った。この2群に分けて比較検討した。
(結果)
両心室治療の年齢(月)はN群:B群=45±35:12±8.5でN群が待機時間が長い傾向にあった。生直後LVEDd(% of N)はN群:B群=98:68、僧帽弁輪径(MV)(%of N)はN群:B群=100:55.5、両心室直前のLVEDdはN:B=98:91、MVはN:B=94:87、術後遠隔期における左室駆出率(%)はN:B=67.3±11:69.3±2.5であった。
(結語)
HLHSと診断された症例においても、個々の症例に対し、左室流入血流を促すことで両心室治療が達成できる症例がある。Norwood 手術ではなく、最近の症例のように両心室治療を目指す症例においては、Bil PABはbridge to decisionとして有用であると考える。
(症例提示)
左心低形成関連疾患の女児(MS,AS,hypo LV,CoA,LSVC)。出生体重2.4kg、大動脈弁73%of N, 僧帽弁78 of Nであった。両側肺動脈絞扼術、その後にASDの狭小化、PDAステント、VSDの拡大術を行った。7ヶ月時に体重4.2kg、大動脈弁92% of N、僧帽弁91% of Nとなり、2心室手術を行い得た。