第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション5(II-PD05)
今だから考える、先天性心疾患におけるMICS

Fri. Jun 28, 2019 8:30 AM - 10:00 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:笠原 真悟(岡山大学大学院医歯薬総合研究科 心臓血管外科)
座長:佐々木 孝(日本医科大学付属病院 心臓血管外科)

[II-PD05-01] 先天性心疾患手術におけるMICS:小児から成人まで、安全性と審美面の両立を目指して

小谷 恭弘, 門脇 幸子, 堀尾 直裕, 小林 泰幸, 辻 龍典, 迫田 直也, 横田 豊, 後藤 拓弥, 黒子 洋介, 立石 篤史, 笠原 真悟 (岡山大学 心臓血管外科)

Keywords:先天性心疾患, MICS, 側開胸手術

目的:先天性心疾患手術におけるMISCは患者QOLを審美面からも改善する有用なアプローチであるが、安全面の確保は絶対条件となる。先天性心疾患における右側開胸手術における皮膚切開、視野確保、人工心肺確立の工夫について報告する。
対象:1991年1月から2018年7月までの期間に当施設で行われた心房中隔欠損症、心室中隔欠損症を含む単純心奇形手術症例1162例を対象とし後方視的に検討した。これらのうち、101例は右開胸アプローチにて手術を施行した。手術体位は左下側臥位とし、小児は腋窩縦切開、成人は腋窩縦切開もしくはそこから乳房下縁へ皮膚切開を延長し、第3または第4肋間開胸を行った。人工心肺は通常、術野からのカニュレーションにて確立した。送血管は先端がストレートのフェモラル送血用カニュラを、脱血菅はストレートもしくは直角のものを視野に応じて使い分けた。成人では必要に応じて大腿動静脈を送脱血路として使用。心内修復後には硬膜外カテーテルを肋間に留置することによる肋間神経ブロックを用いて疼痛管理を行った。
結果:右側開胸にて手術を実施した101例の内訳は、心房中隔欠損症90例、心室中隔欠損症8例、部分房室中隔欠損症1例、僧房弁閉鎖不全症1例、三心房心1例であった。早期および遠隔期死亡は認めず、人工心肺関連の合併症や正中切開アプローチへの移行が必要であった症例はなかった。二次孔型心房中隔欠損症症例において、アプローチを右開胸と正中切開で比較すると、人工心肺時間は右開胸群で長かったが(44 min vs. 36 min, p=0.019)、大動脈遮断時間については有意差を認めなかった(18 min vs.15 min, p=0.071)。
結語:心房中隔欠損症や心室中隔欠損症、僧房弁閉鎖不全症などの単純心奇形手術において、右開胸アプローチは、正中切開に比べても心筋虚血時間を延長することなく安全に施行できる。このアプローチの視野確保、手術器具、疼痛管理などの要点を術中動画を供覧して提示したい。