第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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パネルディスカッション

パネルディスカッション5(II-PD05)
今だから考える、先天性心疾患におけるMICS

Fri. Jun 28, 2019 8:30 AM - 10:00 AM 第3会場 (大ホールC)

座長:笠原 真悟(岡山大学大学院医歯薬総合研究科 心臓血管外科)
座長:佐々木 孝(日本医科大学付属病院 心臓血管外科)

[II-PD05-04] 小児低侵襲心臓手術を目指した側開胸心房中隔欠損閉鎖手術の検討

鈴木 憲治1, 佐々木 孝1, 上田 仁美1, 廣本 敦之1, 栗田 二郎1, 坂本 俊一郎1, 宮城 泰雄1, 石井 庸介1, 師田 哲郎1, 深澤 隆治2, 新田 隆1 (1.日本医科大学 心臓血管外科, 2.日本医科大学 小児科)

Keywords:MICS, 側開胸, 持続肋間神経ブロック

【背景・目的】 当科では2014年12月より小児低侵襲心臓手術を目指した心房中隔欠損閉鎖術を積極的に行っている。基本術式は1)側開胸、2)皮膚小切開(身長の5-7%)、3)大胸筋および広背筋温存、4)上行大動脈送血、5)十分な疼痛管理(2017年8月より持続肋間神経ブロック使用)としている。当院で施行された小児低侵襲心臓手術を目指した側開胸手術の有効性に関する検討を後方視的に行った。【方法・結果】2000年7月から2018年12月までに当院で施行された16歳以下の単独心房中隔欠損閉鎖術のうち上行大動脈送血にて手術を行った28例を対象とした。1) 胸骨正中切開(2000年7月から2014年11月;M群)16例、右側開胸(2014年12月から2018年12月;T群)12例。手術時平均年齢M群:T群=6.2歳:5.7歳、体重21.6kg:20.1kg。この結果、入院期間(11.9日:5.3日, p=0.010)はT群で有意に短く、合併症(5例31.2%:0例, p=0.101)はT群で少ない傾向にあった。2) T群のうち2014年12月から2017年7月までの5例(T-S群)は閉胸時に創部にLevobupivacaineを投与した。2017年8月以降の7例(T-C群)は閉胸時投与に加え、開胸部肋間筋にカテーテルを留置しLevobupivacaine持続投与を行った。手術時平均年齢T-S群:T-C群=5.2歳:6.0歳、体重17.3kg:22.3kg。この結果、持続肋間神経ブロック以外の追加鎮痛薬使用症例(全例:2例28.6%, p=0.028)および術後2日までの呼吸数はB群で有意に少なかった。(p=0.045)【結語】側開胸手術は合併症は少なく、術後全身状態の改善は早いと考えられる。さらに持続肋間神経ブロックを追加することで十分な鎮痛が得られ、周術期の循環呼吸状態の安定が期待できる。低侵襲心臓手術を目指した側開胸手術は有効であり、持続肋間神経ブロックを加えることで侵襲をより軽減できる可能性が示唆された。