[II-PD05-05] 先天性心疾患における縮小正中切開連続305例の成績と低侵襲かつ美容的な手技確立への工夫
Keywords:MICS, 縮小正中切開, 低侵襲
【背景】MICSは、侵襲が少ないことと美容的であることの両立が肝要であり、かつ基本的な技術を持った外科医であれば再現可能な手技でなくてはならない。縮小正中切開(胸骨部分切開)の良好な視野展開の工夫とその成績を報告する。
【適応】経右房ないしは経肺動脈で修復可能な疾患を適応とし、体重上限を30kgとした(それ以上の体重の女性例では乳房下切開を適用)。
【手技】両乳頭を結ぶ線を皮膚切開上端とする(切開4~6 cm)。牽引鉤はリヒカに固定した専用L字固定具で引く。皮下組織を筋膜上で剥離する。胸骨は体部のみ切開する。心膜切開し、最も頭側の心膜を尾側へ牽引しながら胸骨に固定し、右心耳に巾着縫合をかけて尾側へ引くことで大動脈基部と送血管挿入部の視野を得る。上行大動脈送血、SIVC脱血で人工心肺を確立する。閉胸は、吸収性マルチフィラメント糸で胸骨体部を固定する。
【成績】この方法を当院で開始した2004年以降、2019年5月までに305例の縮小正中切開手術を行った。年齢は、中央値2.8歳(1ヵ月~11歳、乳児:32例)、体重は中央値10.9(3.3~31)kgであった。疾患内訳は、ASD:91例、膜様部VSD:118例、肺動脈弁下VSD:73例、AVSD:11例、右室二腔症:9例、DORV:2例であった。PLSVCを9例に認めた(遮断:7、脱血:1例、CS吸引:1)。同時手術はPDA閉鎖:12例、肺動脈弁交連切開:10例に行った。術中に標準胸骨切開に移行したのは1例で、ストライカーによる心損傷であった。手術死亡、遠隔死亡はない。合併症は胸骨偽関節1例、創部感染3例であった。2015年以降の症例で開胸手技を行った外科医は卒後平均4.7(2-10)年目、修復手技を行ったのは卒後平均10.9(3-40)年目であった。平均人工心肺時間は91(66-159)分、心停止時間は42(20-106)分であった。
【結語】我々の行っている縮小正中切開の成績は良好であり、様々な工夫により10年目以下の修練医でも安全に行える確立したアプローチと言える。
【適応】経右房ないしは経肺動脈で修復可能な疾患を適応とし、体重上限を30kgとした(それ以上の体重の女性例では乳房下切開を適用)。
【手技】両乳頭を結ぶ線を皮膚切開上端とする(切開4~6 cm)。牽引鉤はリヒカに固定した専用L字固定具で引く。皮下組織を筋膜上で剥離する。胸骨は体部のみ切開する。心膜切開し、最も頭側の心膜を尾側へ牽引しながら胸骨に固定し、右心耳に巾着縫合をかけて尾側へ引くことで大動脈基部と送血管挿入部の視野を得る。上行大動脈送血、SIVC脱血で人工心肺を確立する。閉胸は、吸収性マルチフィラメント糸で胸骨体部を固定する。
【成績】この方法を当院で開始した2004年以降、2019年5月までに305例の縮小正中切開手術を行った。年齢は、中央値2.8歳(1ヵ月~11歳、乳児:32例)、体重は中央値10.9(3.3~31)kgであった。疾患内訳は、ASD:91例、膜様部VSD:118例、肺動脈弁下VSD:73例、AVSD:11例、右室二腔症:9例、DORV:2例であった。PLSVCを9例に認めた(遮断:7、脱血:1例、CS吸引:1)。同時手術はPDA閉鎖:12例、肺動脈弁交連切開:10例に行った。術中に標準胸骨切開に移行したのは1例で、ストライカーによる心損傷であった。手術死亡、遠隔死亡はない。合併症は胸骨偽関節1例、創部感染3例であった。2015年以降の症例で開胸手技を行った外科医は卒後平均4.7(2-10)年目、修復手技を行ったのは卒後平均10.9(3-40)年目であった。平均人工心肺時間は91(66-159)分、心停止時間は42(20-106)分であった。
【結語】我々の行っている縮小正中切開の成績は良好であり、様々な工夫により10年目以下の修練医でも安全に行える確立したアプローチと言える。