[II-PPAL-01] 先天性大動脈弁狭窄症へのballoon aortic valvuloplastyの遠隔期予後の検討
Keywords:BAV, 大動脈弁狭窄症, 遠隔期予後
【背景と目的】先天性大動脈弁狭窄症(valv AS)に対するballoon aortic valvuloplasty(BAV)は手術に比べて低侵襲ではあるが、術後大動脈弁閉鎖不全(AR)の合併や術後再狭窄によってBAV施行後に手術となる症例をしばしば経験する。臨床経過の変遷を検討し、遠隔期に手術となるリスク因子を検討する。
【対象および方法】1993年1月から2017年12月に初回治療としてBAVを行った複雑心奇形の合併がないvalv AS 36症例のうち、診療録を用いて後方視的に検討できた33症例[初回BAV時日齢:85(18~447)、体重:3.9(3.4~9.1)kg、観察期間:92(19~183)ヶ月]を対象とした。
【結果】BAV施行時の大動脈弁輪径(AVA)はZ score -0.56(-0.88~0.70)で、92(84~100)%AVA sizeのバルーンが使用された。BAVによってAS–PG 56.8±19.0mmHg→25.2±13.6mmHgと軽減し、20例(61%)でAS–PGは50%以上低下した。また12例(36%)でBAV直後に2度以上のARを認めたが、術後ARによる心不全は認めなかった。死亡例は3例(9%)でいずれもBAV関連ではなく、Kaplan–Meier法の算出では1年および5年生存率はそれぞれ94%、90%であった。初回BAV施行から1年以内に6例(18%)が2nd BAVとなったが、1年および5年後の手術回避率はそれぞれ100%、91%で、最終的に手術となった症例は9例(27%:ROSS7例、AVR2例)であった。BAV後に手術となるリスク因子[(1)初回BAV施行時日齢、(2)BAV後のAS–PG(mmHg)、(3)BAV後のAR(2度以上)]についてCox比例ハザード分析を用いて解析したが、いずれも有意差はなかった。
【結論】BAV後に手術となるリスク因子について検討したが今回検討した項目ではいずれも有意なものは認めなかった。しかしBAV後の生存率および手術回避率は高く、手術までの姑息術としては満足のいく結果と考えられる。
【対象および方法】1993年1月から2017年12月に初回治療としてBAVを行った複雑心奇形の合併がないvalv AS 36症例のうち、診療録を用いて後方視的に検討できた33症例[初回BAV時日齢:85(18~447)、体重:3.9(3.4~9.1)kg、観察期間:92(19~183)ヶ月]を対象とした。
【結果】BAV施行時の大動脈弁輪径(AVA)はZ score -0.56(-0.88~0.70)で、92(84~100)%AVA sizeのバルーンが使用された。BAVによってAS–PG 56.8±19.0mmHg→25.2±13.6mmHgと軽減し、20例(61%)でAS–PGは50%以上低下した。また12例(36%)でBAV直後に2度以上のARを認めたが、術後ARによる心不全は認めなかった。死亡例は3例(9%)でいずれもBAV関連ではなく、Kaplan–Meier法の算出では1年および5年生存率はそれぞれ94%、90%であった。初回BAV施行から1年以内に6例(18%)が2nd BAVとなったが、1年および5年後の手術回避率はそれぞれ100%、91%で、最終的に手術となった症例は9例(27%:ROSS7例、AVR2例)であった。BAV後に手術となるリスク因子[(1)初回BAV施行時日齢、(2)BAV後のAS–PG(mmHg)、(3)BAV後のAR(2度以上)]についてCox比例ハザード分析を用いて解析したが、いずれも有意差はなかった。
【結論】BAV後に手術となるリスク因子について検討したが今回検討した項目ではいずれも有意なものは認めなかった。しかしBAV後の生存率および手術回避率は高く、手術までの姑息術としては満足のいく結果と考えられる。