[II-PPAL-02] ラットを用いた心臓内幹細胞経静脈投与後の血行動態および安全性評価
Keywords:心臓内幹細胞, 静脈投与, 血行動態
【背景】我々はこれまで、小児単心室症に対する心臓内幹細胞の経冠動脈投与による心不全治療の効果を報告してきた。しかし、幹細胞治療の効果はparacrine effectによるともいわれ、幹細胞の経静脈投与にも一定の効果を認める報告がある。経静脈投与は容易に複数回投与が行えるため、効果を持続させる上ではより有利な治療戦略である可能性がある。経静脈投与は経冠動脈投与に比べ多くの幹細胞を投与する必要があるといわれ、細胞投与が血行動態に及ぼす影響は未知である。【目的】小児先天性心疾患に対する自己心臓内幹細胞移植の静脈内投与に向けた安全性評価を行うこと。【方法】SDラット(メス、190~210g)に対して、心臓内幹細胞(Cardio-Sphere Derived Cell: CDC)を開胸下右房経由で1mlの高濃度細胞液投与(1.control群: medium、 n=5、 2.高濃度群1: 400万/kg、 n=5、 3.高濃度群2: 800万/kg、 n=5、 4.高濃度群3: 1200万/kg、 n=5)を行い、全4群について投与前後の血液ガス測定およびドップラー血流計による心拍出量の変化を検証した。さらに、全群とも閉胸後に覚醒させ、一週間後の生存率を比較した。【結果】全群とも、細胞投与5分後の血液ガス(pH、 pCO2、 pO2、 cHO3-、 BE、 SvO2)、電解質(Na、 K、 Ca、 Cl)および代謝物(Glucose、 Lactate、 Creatinine)のいずれにおいても投与前と比べて有意差は認めなかった。さらに、ドップラー計による心拍出量は投与後に有意に増加したが、各群の変化率に有意差はなかった(control群: 40.6±4.5 vs. 42.5±5.6 ml/min、 高濃度群1: 36.2±4.7 vs. 38.6±4.8 ml/min、 高濃度群2: 37.5±3.1 vs. 43.3±4.1 ml/min、 高濃度群3: 36.0±3.9 vs. 43.0±3.0 ml/min、 all were P<0.01)。また、全群ともに一週間後の生存率は80%と有意差は認めなかった。【結果】心臓内幹細胞の経静脈投与は、高濃度細胞液であっても循環変動に及ぼす影響は小さく安全性が示唆された。