[II-S07-03] フォンタン手術20年の総括-extracardiac TCPCの妥当性とintra TCPCの必要性-
キーワード:フォンタン, extracardiac TCPC, intracardiac TCPC
【背景】1971年に最初のフォンタン手術が報告されてから約50年が経過する中でさまざまな改良がなされてきた。当院でもさまざまな変遷を経て現在extracardiac TCPC(ET)を基本術式とし、症例に応じintracardiac TCPC(IC)を導入している。【目的】過去20年のフォンタン手術を振り返り、近接~遠隔成績について検討し、特にICの役割につき分析すること。【対象】当院で1999~2018年に行ったフォンタン手術352例(one lungフォンタンやTCPC conversionなどは除外)。男子187、女子165。主な主診断は内臓錯位症候群89(無脾症候群77)、左心低形成症候群58、三尖弁閉鎖34、肺動脈閉鎖26、ほか。フォンタンは平均3.7歳・中央値2.1歳に施行、平均体重は13.5kg。術直前のSVC・IVC圧はそれぞれ平均11.2、6.9mmHg、主心室のEDPは平均8.1mmHg、肺血管抵抗は0.7u。術式はLateral tunnel13、direct Fontan17、IC41、EC281だが、LTは2003年、direct Fontanは2007年以降行っていない。Failing Fontanの定義は心不全・不整脈・PLEなどの合併症で複数回の入院治療歴のあるものとした。【結果】平均経過観察期間は6.6年、最大19.5年。死亡例は16、平均術後5.9年、Kaplan Meier法による10年・15年生存率は95.9%・93.8%。Failing Fontan20。最終カテーテル(術後平均6.5年)でのCVPは平均10.5mmHg、主心室のEDPは6.7mmHg、C.Iは3.4。【ECとICの比較】ICの適応は主にapico-caval juxtapositionなどの解剖学的理由。手術時平均年齢・体重・術前CVPも有意差なし。死亡例はEC13(4.5%)、IC1(2.4%)で長期生存率に有意差なし(Log-Lank, p=0.6)。Failing FontanはEC16(5.6%)、IC3(7.3%)。術後カテーテルではCVP10.3mmHgと10.9mmHg、主心室EDPも6.7mmHgと6.0mmHgでいずれも有意差なし。【結語】過去20年のフォンタン手術の成績を検討した。ECとICの成績はほぼ同様で、ECを基本とし、症例に応じICを導入するストラテジーは妥当と考えられた。