[II-S07-06] Fontan再考 - 最終目標は本当にFontan到達か -
Keywords:Fontan , カテーテル治療, 姑息手術
【背景】Fontan手術は適応患者からチアノーゼを軽減し、QOLをあげる役割を果たしてきたが、反面高CVPによる遠隔期の多臓器障害は明らかになり、知見の集積も進んでいる。右心バイパス術適応症例で、Fontanに至らずとも、バランスのとれた血行動態であれば、よいQOLを維持できる可能性がある。 【目的と方法】当院では形態から右心バイパス適応と考えたが、あえてFontanを完成させていない4名の1)疾患 2)年齢・性別 3)観察期間 4)先行手術とカテーテル治療 5)SpO2 6)CTR 7)BNP 8)カテーテルデータ 9)日常のADL 10)TCPC完成をしていない理由 について検討した。【結果】 1) DORV.VSD 2名、C-TGA.VSD 2名 2) 男3・女1、年齢 5・5・6・41才 3) 成人は6才以降の35年、他3例は新生児期から当科で治療介入した。4) 先行手術はPAB 2, BT shunt 1。 カテーテル治療はValv PSに対するBVP 2, PABに対するBAP 1, APCAに対するコイル塞栓術 1を行った。5) SpO2 90-99%(中央値 93%) 6) CTR 51-56% (中央値 51%) 7) BNP 11-101pg/ml (中央値70) 8) 最終カテーテルは10ヶ月から38才時に評価され、CVP 2-6mmHg, Pp/Ps=0.10-0.25, PAI=320-446 9) 成人はフルタイムで就労し、HNHA class2,他3名は幼稚園、小学校生活を支障なく送っている。10)幼児の3名は現状で十分なQOLを維持と判断、成人の1名は治療に対する両親の理解が得られなかった経過と、BVPにより低酸素の改善が得られたことによる。【考察】今回検討した4名はTCPCに到達していないが、許容される血行動態を維持していた。【結論】限られた条件のもとではあるが、Fontan手術の遠隔期の諸問題を背景に、早期にFontan到達にこだわらないstrategyも、治療戦略のひとつとして再考されてもよいと考えた。