第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム8(II-S08)
心室中隔

2019年6月28日(金) 16:00 〜 17:30 第1会場 (特別会議場)

座長:安河内 聰(長野県立こども病院 循環器センター)
座長:早渕 康信(徳島大学病院 小児科 地域小児科診療部)

[II-S08-01] 心室中隔の発生~どこからどの様に形成されるのか?~

八代 健太 (京都府立医科大学大学院医学研究科 生体機能形態科学部門・解剖学)

キーワード:心室中隔, 心臓領域, 形態形成機構

心室中隔欠損症(VSD)は先天性心疾患の中で最も頻度が高く、本邦では他の奇形を合併しないVSDは全先天性心疾患の20~30%を占める。この疾患の成因を理解するためには、心室中隔の正常な発生過程と、その背後にある分子生物学的機構を理解することが必要である。しかしながら、現在得られている関連する知見はいまだに乏しいと言わざるを得ず、断片的で体系的ではない。この様に分子病態に関する研究が進まず理解が深まらない理由の一つは、心室中隔の形態形成過程の複雑さにあると言えるであろう。心室中隔は、(1)性質の異なる左室と右室を形作るそれぞれの心臓前駆細胞の分化過程、(2)心室の成長過程、(3)筋性部心室中隔の成長過程、(4)心室と房室弁との解剖学的関係の確立、(5)心室と流出路との解剖学的関係の確立、(6)二次心房中隔形成過程と連動する房室弁の形成過程、そして(7)流出路の中隔形成過程などの複数のパターン形成過程が密接に絡み合いながら進行することで完成する。本講演では、この心室中隔が形作られていく過程を概説し議論を試みたい。