[II-S09-05] 先天性心疾患における大動脈弁置換術の経験
Keywords:弁置換術, 大動脈弁, 外科手術
(はじめに)先天性心疾患における大動脈弁治療は、形成術が中心である。先天性異常や、成人先天性領域での増悪が対象となるが、現在までの自己肺動脈弁置換術(Ross手術)、尾崎法、そして日本でも2013年から開始された、カテーテルによる大動脈弁置換術(TAVR)がどの程度先天性領域に広がり、また再手術率を回避出来るかは議論の多いところである。今回我々は、先天性心疾患における大動脈弁置換術について検討したので報告する。
(対象と方法)
2009年から2019年までに当院で大動脈弁置換術を行った25例である。Ross手術例、尾崎法症例、大動脈弁温存手術(David手術)は除外した。これらの症例に対し、
(結果)
早期死亡はなかったが、2例に心不全による遠隔死亡を認めた。年齢は平均が16.1(1-65)歳であった。主な疾患は、TOF,DORV,VSD7例、先天性大動脈弁狭窄6例、大動脈スイッチ術後3例CoA,IAA/CoA2例などで単心室例は1例であった。大動脈弁の病態は閉鎖不全16例で狭窄症9例であった。初回手術例が19例で、再手術例が8例(そのうち2例は弁置換の再手術例)、Konno手術を含む弁輪拡大症例は5例のみであった。生体弁/機械弁が7/18例で弁サイズの中央値は23(17−27)mmであった。大動脈置換術とともに様々な同時手術が19例(76%)に行われた。遠隔死亡した1例はダブルスイッチ後の機械弁置換術後で、重度の心不全から移植、VADを見据えて、生体弁への再置換術例であった。生体弁の選択は60歳以上、心機能不全例、10代後半から30歳までの女性に限られていた。
(まとめ)
先天性心疾患における大動脈弁置換術は満足できるが、複数回の弁形成術や小児期での弁置換術回避という戦略が有効であったと考えられる。今後、生体弁の適応拡大、カテーテルによる弁置換術の適応も含めて、この領域での治療戦略を再考する時期に来ている。
(対象と方法)
2009年から2019年までに当院で大動脈弁置換術を行った25例である。Ross手術例、尾崎法症例、大動脈弁温存手術(David手術)は除外した。これらの症例に対し、
(結果)
早期死亡はなかったが、2例に心不全による遠隔死亡を認めた。年齢は平均が16.1(1-65)歳であった。主な疾患は、TOF,DORV,VSD7例、先天性大動脈弁狭窄6例、大動脈スイッチ術後3例CoA,IAA/CoA2例などで単心室例は1例であった。大動脈弁の病態は閉鎖不全16例で狭窄症9例であった。初回手術例が19例で、再手術例が8例(そのうち2例は弁置換の再手術例)、Konno手術を含む弁輪拡大症例は5例のみであった。生体弁/機械弁が7/18例で弁サイズの中央値は23(17−27)mmであった。大動脈置換術とともに様々な同時手術が19例(76%)に行われた。遠隔死亡した1例はダブルスイッチ後の機械弁置換術後で、重度の心不全から移植、VADを見据えて、生体弁への再置換術例であった。生体弁の選択は60歳以上、心機能不全例、10代後半から30歳までの女性に限られていた。
(まとめ)
先天性心疾患における大動脈弁置換術は満足できるが、複数回の弁形成術や小児期での弁置換術回避という戦略が有効であったと考えられる。今後、生体弁の適応拡大、カテーテルによる弁置換術の適応も含めて、この領域での治療戦略を再考する時期に来ている。