[II-TRO01-02] 多部署・多職種の連携強化のための一考察~緊急カテーテル治療に至った症例を通して~
キーワード:連携, 多部署, 多職種
【背景】出生前診断に基づいた生直後の緊急治療においては、関係する多職種・多部署間で行う事前カンファレンスが重要である。ただ、予期せぬ事態とその対応についてどこまで検討するかは課題である。【目的】今回、出生前診断に基づいて生直後の緊急カテーテル治療を行った症例の経験を通し、多職種・多部署の連携について検討すること。【方法】対象は肺静脈狭窄を伴う総肺静脈環流異常症を合併した無脾症候群と出生前診断され、生直後に重度の低酸素血症を発生して緊急肺静脈ステント留置術を施行した新生児例。治療に関わった産科・新生児科・手術室・PICU・外来看護師、療育支援部・医療安全室の看護師で治療後合同カンファレンスを行い、実際の経過について時系列に整理し後方視的に振り返りを行った。【結果】本症例に対する事前の多職種・多部署合同カンファレンスは2回実施されていた。内容は、ご家族の治療に対する思いに基づいた生直後の治療方針と情報共有で、分娩様式は家族の希望で経膣分娩が選択された。そのため、通常外来時間での処置となり、外来診療に多大な影響を生じたが、この点は外来看護師との間で事前に検討されていなかった。一方、カテ室では、当初予定していた手技が困難で時間を要し、複雑な処置となったが、その場合の患者の全身管理や準備物品の供出など事前検討における情報共有不足から、看護側の円滑な対応が難しかった。また、手技中の家族に対する情報提供について各部署やスタッフの役割が十分明確化されていなかった。【考察・結論】事前カンファレンスでは最優先される治療プラン(A)についての情報共有がされていたが、プランAで救命できなかった時のプランB・プランCについての多職種間検討が不十分であったと考えられた。改善のためには、治療プランごとの各部署・各関係者の役割を明確にしたフローチャートやタイムテーブルを作成し検討しておくことが重要と考えられた。