[II-TRO01-05] 臨床検査技師による小児循環器領域心エコー検査の勧め
Keywords:臨床検査技師, 経胸壁心エコー検査, 業務拡大
【背景】経胸壁心エコー検査(TTE)に携わる臨床検査技師は多いが、小児の検査は医師が行なう為、技師が先天性心疾患(CHD)に関わる機会は少ない。このため循環器科を受診した成人CHD患者の検査に技師は苦慮している。一方、小児専門病院である当センターでは入院患者のTTEを技師が行いCHDの経験も多い。【目的】小児CHD症例の傾向を分析し、技師による小児TTE参入への一助とする。【方法】2018年に技師が実施した0~19歳の症例について年齢群別、疾患群(単純,複雑)、修復段階(手術未施行,姑息術後,根治術後)について分類し検討した。疾患群はASD,VSD,PDA等を単純、AVSD,TOF,TGA,単心室等を複雑とした。あわせて検査時鎮静の有無を検討した。【結果】実施件数429件で年齢は0歳194件,1~5歳134件,6~19歳101件、疾患群は単純210件,複雑219件、修復段階は手術未施行162件,姑息術後63件,根治術後204件だった。鎮静薬使用は1~2歳87%,3~5歳38%、6歳以上は全例未使用だった。手術未施行の単純群は0歳23%,1~5歳22%,6~19歳36%と、どの年齢にも一定数分布した。複雑群のうち手術未施行は0歳では41%だが1~5歳では4%、姑息術後は1~5歳25%,6~19歳7%で6歳~の88%は根治術後だった。【考察】1~5歳は未手術の複雑群は少ないが根治術前の症例も経験でき、鎮静下の良い条件で検査が出来る。6歳以上の複雑群は成人CHDと同様に根治術後が多く、エコーウインドウが広く全体像を把握し易い小児を見る事で成人CHDの参考となる。未治療から根治術後まですべての修復段階を見られるのは0歳だが予想外の奇形が見つかる事も多く治療方針に直結するため詳細な記録が求められる。また呼吸循環が不安定で十分な鎮静を行えない例も有りCHD初心者には難易度は高い。一方、未治療や姑息術後の症例は疾患の理解を深める。各施設でどこから始めるか、まずは小児科検査の見学を勧めたい。【結論】CHDのTTEは技師にも可能であり、参入する事は成人CHD対応にも繋がる。