[II-TRO02-02] 先天性心疾患手術を受ける幼児のレディネス発達を促進する学習材の考案
キーワード:先天性心疾患手術, レディネス, 学習教材
【背景】成人期を迎える先天性心疾患患者が増加を続け、彼らの生涯発達に伴う課題が指摘されている。先天性心疾患では、慢性疾患として生涯の疾患管理が必要とされる一方、幼少期に集中する治療や手術、疾患そのものの影響により、患児自身の自然な活動が促されにくく主体性を高めにくい。幼少期の患児が治療を乗り越えながらもレディネスを高めていくための援助が、求められている。【目的】先天性心疾患手術を受ける幼児のレディネス発達を促進する学習材を考案する。学習材の目標は「患児が自分なりに、手術の体験を通じて疾患に対する関心・理解を高め、生涯に渡る療養行動に対して主体的な姿勢を築く」ことである。【方法】学習材の考案プロセスはADDIEモデルを参考とし、関連教材をもとに作成した。学習材は、7領域の対象者(臨床看護師、小児看護専門看護師、臨床心理士、小児循環器専門医、心臓血管外科専門医、成人期先天性心疾患患者、先天性心疾患をもつ幼児の母親)への半構造化面接により評価を収集し、洗練を図った。【結果】学習材は、目標に従い、心疾患、関心の強い医療体験、生涯に渡る療養行動の3つを主要単元とする。幼児用疾患教育教材および先天性心疾患患者用教育教材から入手可能な11教材を選択し、要素を抽出して作成した。対象者11名の評価では、構造の一貫性、目標に対する適切性、個別学習の有用性があげられる一方、学童期以降の理解に繋がる基礎情報の欠如、手術体験に関する情報の不足が指摘された。【考察】関心の強い医療体験に焦点を当てた本学習材は、患児自身の感覚や体験の意味づけを促し、知的探究心を刺激する。患児の主体的な学習に働きかけ、関心・理解を高め、主体性を築くものとして洗練できたと考えられた。【結論】先天性心疾患手術を受ける幼児のレディネス発達を促進する看護援助の一助として、学習材を考案した。今後は、学習材の有効性の検討が必要である。