[II-TRP01-03] 先天性心疾患患者に対する術後早期リハビリテーションの取り組み
Keywords:先天性心疾患, PICU, 術後早期リハビリテーション
【背景】先天性心疾患(CHD)患者に対する手術後早期リハビリテーション(早期リハ)の報告は少ない。当センターでは、平成30年度診療報酬改定項目の「早期離床リハビリテーションの取り組みに係る評価」新設に合わせ、多職種チームを結成し、開始・中止基準を作成、CHD患者に対しPICU滞在時から早期リハを開始した。【目的】当センターCHD患者における早期リハの現状と課題を検討する。【対象】2018年5月~12月の間、CHDに対し手術及び早期リハを実施した63名(男児29名・女児34名)を介入群とし、早期リハ導入前の2017年5月~12月の間、CHDに対し手術が施行されたが早期リハが未実施の64名(男児35名・女児29名)を非介入群とした。【方法】患者背景、PICU滞在期間と退室後の院内滞在期間を診療録より後方視的に調査し、介入群と非介入群で比較検討した。介入群は開始までの日数、早期リハ内容、退室後継続リハビリの有無、介入に伴う有害事象件数を同時に調査した。【結果】介入群/非介入群の順に、年齢3.8±8.0歳(0~48歳)/ 3.5±5.2歳(0~25歳)、PICU滞在期間7.9±13日/10.5±27日と退室期間に差はなかったが、退室後の院内滞在期間が13±12日/23±36日と介入群で短かった(p<0.01)。早期リハ開始の平均日数は1.9±1.5日、内容(重複あり)は体位管理91%、離床や発達支援70%、呼吸理学療法47%、ROMex25%であった。退室後リハビリ継続者は15名(30%)で、PICU滞在期間が長かった(継続群9.0±10.0日/非継続群4.0±2.7日 p<0.03)。開始基準を満たさなかった非介入者が3名で、早期リハに伴う有害事象はなかった。【考察】介入群はPICU退室後の院内滞在期間が短かったが、離床への明確な効果は実証できなかった。しかし術後早期リハは有害事象を認めずに介入が可能であり、今後は症例蓄積と体系的評価のシステム作りが必要と考える。