[II-TRP03-04] 新生児ECMOに対してHCF-MP23Pを使用した経験
キーワード:HCF-MP23P, ECMO, 新生児
【諸言】今回新生児のECMOに対し、モノピボット遠心ポンプHCF-MP23P(MERA社製)を使用したので報告する。HCF-M23Pは耐久性と血液適合性の向上が中心に研究開発が行われた遠心ポンプである。【症例】左心低形成症候群(HLHS)と診断の日齢12日、身長47.0cm、体重2.413g、体表面積0.17m2で、一期的姑息手術としてNorwood,RV-PAconduit手術を施行した。術後LOSとなりECMO導入となった。【方法】回路は福岡市立こども病院回路、遠心ポンプはMERA社製HCF-MP23P、人工肺はニプロ社製BIOCUBE2000ELを使用した。Ao送血(Edwards社製 FemflexII ;8Fr)、RA脱血(TOYOBO社製 ;12Fr)にてECMOを確立した。【結果】補助流量100~220ml/min(PI;0.6~1.2L/min/m2)、遠心ポンプ回転数2261±225.7rpm、ACT値158±19秒、血圧63±9/53±8mmHg、直腸温度36.6±0.2℃、Ht値43±1%であり、補助循環時間は21時間55分であった。ECMO中に溶血はみられず、またECMO離脱後の回路も観察したが血栓等の付着物は確認できなかった。【考察】補助循環時間は約22時間であったが、低流量域で流量・回転数の変動が少なく、血行動態・酸素化も安定していた。従来のシステムでは、新生児の目的とする補助循環流量域の200~300ml/minにおいて、遠心ポンプの特性として多くの場合回転数が不安定となっていた。またそれが原因と考えられる溶血も多くみられ、血栓等も発生し易く、回路交換を考慮する必要があった。今回、溶血や血栓がみられなかったことは、モノピボット遠心ポンプの特長である回転羽根を1点支持で行う機構による接触面積の低下や、血栓防止のためのウォッシュアウト・ホールを小径で集中化させたことで洗い流しに優れるという構造の結果と考えられる 。【まとめ】今回モノピボット遠心ポンプHCF-MP23Pを用いECMOを施行した。これは耐久性と血液適合性の向上を中心として研究開発が行われた遠心ポンプであり、小児のECMOに有用であった。