第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスターセッション(多領域専門職部門)

安全・安楽

ポスターセッション(多領域専門職部門)4(II-TRP04)
安全・安楽

Fri. Jun 28, 2019 5:30 PM - 6:30 PM ポスター会場 (大ホールB)

座長:森貞 敦子(倉敷中央病院 看護部)

[II-TRP04-01] 乳児期における心臓カテーテル検査後の安静・安楽の検討~抑制なしの試み~

早稲田 千妃呂, 重松 真衣 (福岡市立こども病院 4階東病棟)

Keywords:心臓カテーテル検査, 乳児, 安静

【背景】A病院では心臓カテーテル検査(以下:心カテ)の床上安静時間を,年齢や発達段階に関わらず原則として3時間と設定してきた。しかしながら中には,体幹抑制帯使用による身体的苦痛から啼泣し,かえって安静を保てないケースがある。そこで,本研究では乳児期の心カテ後において,体幹抑制帯を使用せずに患部の安静を保持する方法(以下:床上安静0時間)を試みた。その結果,患児・家族にとって心身の安寧に繋がったことが示唆された。【目的】心カテ後の乳児と家族が身体侵襲を最小限に保ち,安楽に過ごすための看護ケアを検討することである。【方法】対象:先天性心疾患で心カテを受ける乳児60例とケアを提供した看護師。分析方法:床上安静0時間の患児の穿刺部出血,追加鎮静施行数等についてこれまで心カテを行った患児と比較。看護師へのインタビューによるケアの評価。【結果】取り組み前後において穿刺部出血の有無に差はなかった。床上安静0時間にした場合の追加鎮静施行数は0名であった。インタビューの結果により,取り組み後の乳児は,哺乳や抱っこなどの欲求を満たしながら安静が必要とされる時間を過ごす事ができ,患児・家族の心の安寧に繋がったという意見があった。【考察】乳児にとっての安静とは,安楽が約束された上で成り立つものであり,患児が安心できる環境を作る事が重要であった。また,家族にとっても啼泣する患児を抱っこできる事で,精神的な負担の軽減に繋がったと考えられる。看護師は心カテ後に起こり得る穿刺部出血の有無には特に注視し早期発見へ努める必要がある。【結論】乳児期の心カテ後の安静は画一的な体幹抑制帯の使用ではなく,患児の欲求把握と十分な心身の観察をすることが必要である。その際,抑制による不快や体動が穿刺部の出血を助長する場合があることを認識する必要がある。