[II-TRP04-02] フォンタン関連肝疾患に合併した難治性腹水に対する外来での腹水穿刺の看護経験
Keywords:フォンタン関連肝疾患, 腹水穿刺, QOL
【背景】成人先天性心疾患症例における重症心不全に対する診療や看護の経験は乏しく、臨床実績の報告も少ない。また疾患や社会的背景も多様であり、各症例に合った診療体制を整える必要がある。フォンタン関連肝疾患(FALD)の末期では、大量の腹水貯留によるQOLの低下が著しい。このため腹水穿刺が必要になるが、その方法やケア、安全性に関する報告はほとんどない。今回、本人の希望を尊重し、FALDによる腹水穿刺を外来で定期的に施行した事例を報告する。【目的】症例のQOLを維持しながら、腹水穿刺を外来で安全に行うための看護を確立する。【方法】対象は26歳女性、フォンタン(TCPC)術後、NYHAIII~IV、2018年6月から12月までの診療録をもとに、腹水穿刺の方法、排液施行中のバイタルサインの変化について後方視的に検討した。また、本人の本方法への思いや日常生活の様子についてアンケートを行った。本研究は、院内倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】1)腹水穿刺は計10回行った。医師と協議し以下の手順を決めた。静脈ルート確保時に採血、輸液と抗生剤前投薬開始、同時に穿刺部位へのリドカインテープ貼付、抗生剤投与終了後に穿刺、穿刺時は感染予防のためマキシマルバリアプリコーションを行う。腹水は1L/時間で排液、バイタル測定1時間毎とした。1日あたり5~7L排液したが、ペースメーカー装着症例で心拍数変動なく血圧やSpO2低下もなかった。2)本人からは、「何度も見に来てくれて安心。」「外来治療になって家で過ごす時間が増えた。」「コンサートに行けるようになった。」と肯定的な回答あり、QOLの改善が窺えた。【考察】医師と協議しながらFALDによる腹水穿刺を安全に施行し、その看護体制を整備することができた。これにより、症例のQOL改善にも寄与できた。外来でのFALDの腹水穿刺の経験をさらに蓄積して、より安全で快適な看護に繋げる必要があると考えられた。