[II-TRPAL-02] 小児循環器疾患患者における移行期支援外来の受診効果:ランダム化比較試験の結果から
キーワード:成人移行期支援, 移行準備性, ランダム化比較試験
【背景】国内では移行期支援外来の介入効果に関する報告はまだない。当院の移行期支援外来でランダム化比較試験を行い、循環器疾患患者への効果について検討した。【方法】2017年7月-2018年11月に当院小児科へ通院している12-18歳の患者を対象とした。2回の移行期支援外来の受診および自身の医療情報をまとめてもらう介入群と、定期受診のみの対照群に割付け、自己管理や受診管理を主体的に行うなど、移行へ向けた患者の準備状況を示す移行準備性(日本語版TRANSITION-Q:T-Q)の得点で比較した。また、非循環器患者との間で介入群における介入前後の得点変化量について検討した。研究施設の倫理委員会による承認を得て行った。【結果】参加者80人のうち循環器疾患患者は34人(14.3±1.8歳)で、脱落者4人を除き介入後は介入群12人、対照群18人であった。介入後のT-Q得点は介入群55.67±11.70、対照群49.33±14.53(p = 0.03)と介入群で有意に高かった。特に他者とのコミュニケーション、疾患理解について得点変化量が高く、「健康状態を自分で伝える」患者は介入前の4人(33.3%)から介入後の10人(83.3%)へ、「主体的に情報収集を行う」患者は1人(8.3%)から5人(41.7%)へ増加した。一方、受診行動については得点変化量が低く、「一人で診察を受ける」「自分で予約する」ではほとんど変化がなかった。また、非循環器疾患との間で得点変化量に差は認めなかった。【考察】移行期支援外来での介入は循環器疾患患者の移行準備性の向上に有効であり、特に他者とのコミュニケーションや疾患理解における主体性の向上に寄与することが示された。単独受診や診察予約に関する項目では、患者の自立に対する親の認識のみならず、介入期間の短さが影響した可能性がある。今後は患者家族に対する移行期支援、および移行準備性の長期的変化について調査が必要である。