[II-YB01-02] Fontan術後遷延性胸水のリスク因子と術前コイル塞栓のタイミング別効果
キーワード:遷延性胸水, コイル塞栓術, Fontan術
【背景】Fontan(F)術後の遷延性胸水の発症要因は必ずしも明確ではなく、体肺短絡側副血行(APC)コイル塞栓術の効果についても定まった見解は得られていない。
【目的】F術後遷延性胸水のリスク因子を明らかとし、術前コイル塞栓術の有効性と時期による効果の違いを検証する。
【対象と方法】対象は2009/1月から2017/12月に当院でF術(全例EC法)を施行した連続242例。ドレーン留置期間・術後入院日数に影響する因子をF術前SaO2, 平均肺動脈圧(PAP)、PAI、SVEF、Qp/Qs, %SPCF, RpIを独立変数としたCox比例hazard modelによる多変量解析により後方視的に検討した。さらに術前コイル塞栓術施行154例を施行時期から2群(A群:Fontan術前1ヶ月以内,B群:1-12ヶ月前)に分け非施行例(C群)を加えた3群の背景因子を一致させたペア15組45例を対象とし,ドレーン留置期間・術後入院日数についてWilcoxon符合付き順位和検定による群間差の検定を行った。
【結果】術後ドレーン留置期間6(2-41)日(中央値),術後入院日数25(14-91)日で長期入院の原因は全例遷延性胸水であった。F術前PAPが低く、PAIが大きいほど術後入院日数が短かった(HR 0.92(95%CI 0.87-0.98), 1.003(95%CI 1.002-1.005))。コイル塞栓術施行時期別による比較では,疾患,PAP, PAIについての群間差はなかった。ドレーン留置期間はA群4(4-8)日,B群10(4-27)日,C群9(6-16)日,術後入院日数はA群23(17-39)日,B群47(25-61)日,C群33(23-43)日といずれもA群が有意に短かった。
【考察】PAPやPAIで表される肺血管床の成熟度が術後急性期のF循環への適合度を左右しており,コイル塞栓術はPAPを下げることでその適合範囲を拡げることに寄与しているかもしれない。
【結語】Fontan術後遷延性胸水のリスク因子として高PAP, 低PAIが挙げられる。高リスク症例では発達したAPCを伴うことが多く,コイル塞栓術をFontan術前1か月以内に行うことでリスクの軽減化が期待できる。
【目的】F術後遷延性胸水のリスク因子を明らかとし、術前コイル塞栓術の有効性と時期による効果の違いを検証する。
【対象と方法】対象は2009/1月から2017/12月に当院でF術(全例EC法)を施行した連続242例。ドレーン留置期間・術後入院日数に影響する因子をF術前SaO2, 平均肺動脈圧(PAP)、PAI、SVEF、Qp/Qs, %SPCF, RpIを独立変数としたCox比例hazard modelによる多変量解析により後方視的に検討した。さらに術前コイル塞栓術施行154例を施行時期から2群(A群:Fontan術前1ヶ月以内,B群:1-12ヶ月前)に分け非施行例(C群)を加えた3群の背景因子を一致させたペア15組45例を対象とし,ドレーン留置期間・術後入院日数についてWilcoxon符合付き順位和検定による群間差の検定を行った。
【結果】術後ドレーン留置期間6(2-41)日(中央値),術後入院日数25(14-91)日で長期入院の原因は全例遷延性胸水であった。F術前PAPが低く、PAIが大きいほど術後入院日数が短かった(HR 0.92(95%CI 0.87-0.98), 1.003(95%CI 1.002-1.005))。コイル塞栓術施行時期別による比較では,疾患,PAP, PAIについての群間差はなかった。ドレーン留置期間はA群4(4-8)日,B群10(4-27)日,C群9(6-16)日,術後入院日数はA群23(17-39)日,B群47(25-61)日,C群33(23-43)日といずれもA群が有意に短かった。
【考察】PAPやPAIで表される肺血管床の成熟度が術後急性期のF循環への適合度を左右しており,コイル塞栓術はPAPを下げることでその適合範囲を拡げることに寄与しているかもしれない。
【結語】Fontan術後遷延性胸水のリスク因子として高PAP, 低PAIが挙げられる。高リスク症例では発達したAPCを伴うことが多く,コイル塞栓術をFontan術前1か月以内に行うことでリスクの軽減化が期待できる。