[II-YB02-04] 門脈体循環シャントに対するカテーテル診断および治療の役割
Keywords:門脈体循環シャント, カテーテル, 画像診断
【背景】先天性門脈体循環シャント(Congenital Portosystemic Shunt : CPSS)は長期的には肺高血圧症、肝性脳症などの重篤な合併症を来しうる疾患である。CTやエコーで門脈欠損が疑われ、肝移植対象と考えられていた症例でもカテーテル検査による肝内門脈の同定から治療に至る症例もあり、その診断治療におけるカテーテルの役割は増している。【目的と方法】CPSSの診断治療におけるカテーテルの治療戦略を検討すべく当院でカテーテルを行ったCPSS症例の背景、治療内容を後方視的に検討した。【対象と方法】対象は2004年以降に当院で行ったCPSS症例へのカテーテル延べ13件(9症例、うち1例はHybrid)。発見契機はガスリー検査、肺動静脈瘻、偶発的が各々1例、肝機能障害や高アンモニア血症などの採血異常が5例であった。カテ時の年齢は6.6歳(0.5~11.8歳)でPSSの中でも静脈管開存は4例であり、2例は塞栓術施行、残り2例は介入待ちあるいは経過観察中となっている。PDV以外の5例ではバルーン閉塞のみでは肝内門脈の同定に至らず、カテ先のwedge造影にて肝内門脈を同定しshunt手術に至ったのは2例(22%)、Occlusion balloon使用により複数あるCPSSの経路同定に至ったのは1例(11%)で、この症例は近々カテーテルによる塞栓術を予定している。カテ先のwedge造影、Occlusion balloonの併用を用いても肝内門脈の同定に至らなかった2例のうち、1例は開腹Hybridで肝内門脈の同定に至り、段階的治療となっている。もう1例は開腹Hybridでの介入待ちとなっている。【考察】CPSSの診断治療にあたり、カテ先でのwedge造影とocclusion balloonの併用は非常に有用であると考えられる。肝内門脈が極めて低形成な症例では開腹下にHybridでカテーテルを行うことにより門脈の同定および治療に至り、肝移植が回避出来る症例が多く存在する。