第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長要望演題

会長要望演題3(II-YB03)
新しい不整脈診断と治療

2019年6月28日(金) 10:30 〜 11:20 第4会場 (中ホールA)

座長:堀米 仁志(筑波大学医学医療系 小児科)
座長:青木 寿明(大阪府立母子保健総合医療センター 小児循環器科)

[II-YB03-01] 植込み型心臓モニター導入目的で紹介された症例の検討

梶山 葉, 竹下 直樹, 遠藤 康裕, 森下 祐馬, 浅田 大, 河井 容子, 中川 由美, 池田 和幸, 糸井 利幸 (京都府立医科大学医学部 小児科)

キーワード:植込み型心臓モニタ, 失神, 不整脈

<背景/目的>不整脈発作が疑われるが、運動負荷心電図やホルター心電図等で発作時心電図を確認できないケースは多い。近年、より長時間の心電図モニターや簡易なイベントレコーダーが利用できるようになり長期間の観察が可能となった。小児におけるこれらの機器使用の効果と特徴を明らかにする。<対象/方法>2015年から2018年の4年間に、当科に植込み型心臓モニター(ICM)導入目的で紹介された症例について後方視的に検討した。<結果>対象は6名(男3、女3)紹介時年齢10歳から16歳、中央値12.5歳。初回発作から紹介までの期間は1年から9年(中央値6.5年)、主訴は失神5名、動悸1名であった。発作頻度は月1回程度から数年に1度まで多様であった。失神発作のうち4名にICMを導入し、2 名は1年以内に発作時心電図を確認、1名は1年以内に失神前駆症状を確認しそれぞれ加療を開始した。残る1名は現在まで心電図異常および失神を認めていない。失神を主訴としICM導入を行わなかった症例は、偽発作あるいはてんかん発作が強く疑われた為、携帯心電計を導入したところ、1か月ほどで不整脈発作を否定することが出来た。動悸を主訴とした症例は、運動時の短時間の動悸発作であったため、取り外し可能な長時間心電用データレコーダを導入し2週間以内に発作時心電図を確認することが出来た。また動悸不安を訴える症例が2名あり、カウンセリングや抗不安薬の投与を要した。<考察>症例の多くが失神を呈し、長期間の観察期間ののちICM導入へと至っている。発作時の心電図が取りにくく、てんかんとの鑑別に苦慮するためICMの果たす役割は大きい。一方でICM導入は侵襲を伴うため、その他のモニター機器を駆使することも重要である。今回ICM以外の機器で発作時心電図を確認できた症例は2週間から1か月の観察期間であった。また治療開始後も2名にメンタルサポートを要した事は、未診断の期間が長いことが影響していると考える。