[III-OR30-01] Rastelli導管敷設レイアウトの手技的工夫と早期成績
Keywords:工夫, ラステリ, 手技
【背景】Rastelli手術における心外導管は胸骨下・胸腔内スペースの制約から胸壁との間で圧迫変形しやすい.また肺動脈吻合口と心室側吻合口の向きの制約から,単一導管ではその走行の自由度が低い.【方法】我々は弁付き導管とリング付き導管の2つのgraftを使用することにより,これらの問題解決するための手技的工夫をしている.まず弁付き導管を肺動脈側にそれを走行させたい角度で吻合する.次にリング付き導管を心室側に覆いかぶせるようにtrimmingし端側吻合する.胸腔内スペースに応じて,各導管を意図する走行経路に敷設し,graft-graft吻合形態でその角度を吸収する.手術方法を供覧するとともに早期成績を報告する.【結果】2014.3-2018.10までに17例に同方法を応用した.年齢中央値1歳7か月(6か月-15歳).体重中央値6.6kg(4.8-47.5kg).疾患の内訳はPA/VSD8例,DORV/PA3例,TOF/MAPCA1例,Truncus1例,IAA/AS2例,situs iversus/original Taussig-Bing1例,TGA術後 1例.使用した弁付き導管はCONTEGRA 12mm6例,14mm6例,16mm2例,PTFE3弁付き導管18-22mm各1例.遠位側吻合が心尖部と同側12例,対側4例,Lecompte後1例.一期的胸骨閉鎖は13例(76%)に可能であったが,BSA>0.32m2の場合,全例で可能であった.graft遠位側吻合が心尖と同側の場合,対側に対し有意に一期的胸骨閉鎖可能であった(92%,25%,P<0.01).死亡例はなく,1年以上経過した9例のうち,7例(78%)にCTが,8例(89%)に心臓カテーテル検査が施行され,胸壁との間でgraftの変形を認めた症例を認めず,いずれも良好なgraft形態であった.心室から導管末梢までの圧較差は3±3mmHgと低値であった.【結語】高率に一期的胸骨閉鎖が可能であり,graft変形も認めなかった.2つのgtaft同士が任意の角度で吻合できるため,レイアウトの自由度が大きく,各症例の胸腔スペース等の解剖学的条件に応じた敷設レイアウトが可能であった.