第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演30(III-OR30)
外科治療 4

2019年6月29日(土) 09:30 〜 10:20 第4会場 (中ホールA)

座長:池田 義(京都大学 心臓血管外科)
座長:白石 修一(新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)

[III-OR30-02] ePTFE三弁付心外導管を用いた右室流出路再建術の治療成績

小林 慶, 新川 武史, 中山 祐樹, 宝亀 亮悟, 新浪 博士 (東京女子医科大学病院 心臓血管外科)

キーワード:右室流出路再建, 3弁付き心外導管, 心外導管

【背景】先天性心疾患における右室流出路再建に使用する心外導管は施設により様々であり、依然として議論の余地のあるところである。【目的】当院におけるePTFE三弁付心外導管による治療成績を検討した。【方法】2014年4月から2016年12月までに当院でePTFE三弁付心外導管を用いて右室流出路再建を実施した症例を後方視的に検討した。導管内圧較差50mmHg以上、導管逆流moderate以上を導管機能不全とした。【結果】対象は41例で、その基礎疾患は大動脈弁疾患 15例、肺動脈閉鎖 11例、両大血管右室起始症 6例、大血管転位症 5例、総動脈管症 3例、大動脈弁下狭窄 1例であった。手術手技はRastelli手術 22例、RossまたはRoss-Konno手術 15例、Yasui手術 1例、reRVOTR 3例であった。手術介入した平均年齢は9.4歳。使用した導管は心膜ロール+ePTFE弁尖が15例、ePTFE導管+ePTFE弁尖が6例、bulging sinus付valved ePTFE導管(Yamagishi)が20例で、心外導管の平均サイズは17mmであった。周術期死亡は1例。平均追跡機関6.7年で、遠隔期における死亡はなし。圧格差50mmHg以上の導管狭窄を4例で認め、導管狭窄の回避率は5年で100.0%、10年で80.3%。中等度以上の導管逆流を8例で認め、導管逆流の回避率は5年で86.3%、10年で80.2%、両方を合わせた導管機能不全の回避率は5年で86.3%、10年で69.4%であった。追跡期間中に再手術は3例認めた(2例はreRVOTR、1例はRoss後の基部拡大に伴うARに対するBentall術)。5年間の再手術回避生存率率は91.7%であった。【結語】当院におけるePTFE三弁付心外導管の手術成績は良好であった。再手術は導管機能不全のみでなく、原疾患、術式などmultifactorialな要素で決まるためさらなるリスク因子の検討が必要である。文献的考察を加えて報告する。