[III-OR31-02] 個々のFontan術後患者の長期的なQOL向上を目指した心外機能評価
Keywords:Fontan, 呼吸機能, 筋量測定
背景: 個々のFontan患者の運動耐容能には, 心機能や心拍応答など循環の問題だけでなく 呼吸機能や筋量も影響を及ぼす. 呼吸, 筋肉, 循環の指標を評価し, 早期からリハビリテーションを行うことで, 将来的により良好なFontan循環が期待できる. 目的:個々のFontan患者において心肺機能検査, 呼吸機能検査, 筋量測定を行い, 呼吸, 筋量, 循環の指標の中で個々の患者の運動耐容能に影響及ぼす因子を各々同定すること.対象及び方法:2017年から2018年にFontan患者14例に心肺機能検査(エルゴメータおよびトレッドミルによるRamp法)、心臓カテーテル検査、呼吸機能検査、筋量測定(生体インピーダンス法)を行った. 最大酸素摂取量(Peak VO2), 循環の指標である最大心拍数/予測心拍数比(% max HR), 安静時心係数(CI), 心室駆出率(EF),呼吸機能の指標として肺活量(%VC), 筋量の指標として四肢筋量を測定した. また6項目を指標としたレーダーシートを作成し,個別評価を試みた.結果:Fontan患者の心肺機能検査施行時年齢は9.6 (8.3─34.5)歳, 性別(男性) 7例(50%), Fontan術後経過期間は5.9 (5.1─20.5)年であった。Peak VO2(% of normal) 74(47─105)%で、CI 3.22(1.38─4.84) L/min/m2, EF 53.7(37.4─63.3)%, %VC(% of normal) 83.8 (70.3─103.6)%, 四肢筋量(% of normal) 91(71─108) %であった. そのうちPeak VO2(% of normal) 80%以下の低下は10例であった. 心室機能低下例EF 50%以下)は10例中6例で、心拍応答低下例(% max HR 80%以下) 5例、呼吸器機能低下例(%VC 80%以下) 3例、筋量低下例(四肢筋量 90%以下) 3例であった. うち2項目低下例は2例、3項目低下例は2例、呼吸器機能及び筋量の単独低下例はなかった. 循環、呼吸、筋量すべてが低下した例は2例であった.結論: Fontan術後患者の運動耐容能に対して循環に比べて呼吸や筋量の影響は少ないが. 呼吸や筋量に対するリハビリ治療は運動耐容能改善の一助となる可能性がある.