[III-OR31-06] NT/BNPのFontan患者における心不全マーカーとしての有用性
Keywords:NT/BNP, Fontan, 心不全
【背景】ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、およびBNP前駆体N端フラグメント(NT-pro BNP)は、心不全のバイオマーカーとして広く知られている。我々は、NT-pro BNPとBNPの比 (NT/BNP)は、体格、年齢や腎機能によって規定される一方で、この比自体も心不全の重症度を反映することを報告した。これは、生理的活性を有するBNPのクリアランスが落ちることで血中濃度が相対的に増加し心臓を保護するという、心不全に対する生体防御的適応を反映していると考える。従って、NT-pro BNP やBNP自体はFontan心不全の評価に対する有用性が乏しい中、NT/BNPは、Fontan心不全マーカーとして有用である可能性がある。
【方法】Fontan患者16例を対象とし、Fontan術後の心臓カテーテルで中心静脈圧 (CVP)を測定し、血液検査でNT-pro BNP、BNP、シスタチンC (CysC)を測定した。
【結果】平均年齢は3.4±0.8歳であった。CVPは13.6 ± 2.6mmHgであった。BNP、NT-pro BNP、NT/BNPはそれぞれ35.9±43.6 pg/ml、49.7±59.9 pg/ml、10.6±5.2であった。log NT/BNPはCVPと強い負の相関関係(r = -0.753, p < 0.001)を認め、腎機能、年齢を入れた多変量解析でも同様であった。一方でNT-pro BNPやBNPはCVPとの間には有意な相関は認められなかった(p > 0.05)。
【結論】Fontan患者においては、うっ血に伴ってNT-pro BNPと比較して生理活性を有するBNPが相対的に増加し、NT/BNPは低くなる可能性が示唆された。前負荷のかかりにくいFontan循環においてはBNPやNT-pro BNP単独ではFontan心不全状態を評価することは困難だが、これらの指標を組み合わせることでうっ血の程度を簡便に定量評価できる可能性がある。
【方法】Fontan患者16例を対象とし、Fontan術後の心臓カテーテルで中心静脈圧 (CVP)を測定し、血液検査でNT-pro BNP、BNP、シスタチンC (CysC)を測定した。
【結果】平均年齢は3.4±0.8歳であった。CVPは13.6 ± 2.6mmHgであった。BNP、NT-pro BNP、NT/BNPはそれぞれ35.9±43.6 pg/ml、49.7±59.9 pg/ml、10.6±5.2であった。log NT/BNPはCVPと強い負の相関関係(r = -0.753, p < 0.001)を認め、腎機能、年齢を入れた多変量解析でも同様であった。一方でNT-pro BNPやBNPはCVPとの間には有意な相関は認められなかった(p > 0.05)。
【結論】Fontan患者においては、うっ血に伴ってNT-pro BNPと比較して生理活性を有するBNPが相対的に増加し、NT/BNPは低くなる可能性が示唆された。前負荷のかかりにくいFontan循環においてはBNPやNT-pro BNP単独ではFontan心不全状態を評価することは困難だが、これらの指標を組み合わせることでうっ血の程度を簡便に定量評価できる可能性がある。