第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演32(III-OR32)
川崎病・冠動脈・血管 3

Sat. Jun 29, 2019 9:40 AM - 10:20 AM 第5会場 (中ホールB)

座長:小林 徹(国立成育医療研究センター 臨床研究センター企画運営部)
座長:太田 邦雄(金沢大学附属病院 小児科)

[III-OR32-02] 川崎病巨大冠動脈瘤合併症例の成人期のフォローアップ状況の調査

片山 博視 (大阪医科大学小児科 「川崎病巨大冠動脈瘤合併症例の成人期のフォローアップ状況の調査」研究グループ)

Keywords:成人期川崎病, 巨大冠動脈瘤, 脱落症例

【背景】巨大冠動脈瘤形成群は生涯にわたる定期的経過観察を推奨されているが成人症例がどのようにフォローされているか、その現状は不明である。【目的】成人期川崎病巨大冠動脈瘤合併症例のフォローアップの現状の把握と脱落症例の解析である。【方法】第12-14回(1991-1996年)川崎病全国調査において巨大冠動脈瘤合併症例として報告された351名のうち重複例を除く310例を対象に、報告医療機関を出発点として転院先の医療機関へもアンケート調査を行い、その診療状況(脱落状況)、脱落の要因を分析した。追跡可能症例を死亡症例、生存症例に分類し各項目を比較検討した。更に生存症例を脱落、非脱落群に分類し2群間の比較検討を行った。検討項目は報告時冠動脈病変、経過中の冠動脈病変の変化、虚血の有無、冠動脈病変関連の入院の有無、外科治療、カテーテル治療の有無、内服薬、ワーファリン内服の有無である。統計はFisher正確検定を用いた。【結果】310例中回答があった症例は262例で、追跡可能症例は126例(非脱落例56例、脱落例24例、死亡例8例(川崎病関連死7例、非関連死1例)フォローオフ2例、不明36例)であった。(1)2/3が19歳以上で脱落していた。(2)虚血の所見のある症例は有意に非脱落群に多かった。(3)転院の既往のある症例は脱落群に多い傾向にあった。(4)川崎病関連死症例は全例、初期病変としてLMTの巨大冠動脈瘤を有していた。退縮病変を有する症例はなかった。(5)川崎病関連死症例はLMT,LAD,RCAの狭窄・閉塞性病変の進行、虚血の所見が有意に高かった。(6)調査不能症例が多く初期の脱落症例の把握は困難であった。【考察】思春期から成人期への移行期に脱落する症例が多く本研究の結果は川崎病冠動脈瘤合併症例の移行期医療の問題を示唆している。【結論】思春期における川崎病冠動脈瘤合併症例の患者自身の病態理解・治療、経過観察の必要性の理解を促すことが重要である。