[III-OR32-04] 学校管理下の心停止発症例で判明した致死的冠動脈疾患に関する検討
キーワード:冠動脈, 先天異常, 突然死
【背景】学校での突然死の原因中、先天性冠動脈異常は心臓検診で発見困難であり、対策を検討するため資料から病像をまとめる。【方法】1989年~2015年に学校災害共済制度へ報告された心血管系突然死から川崎病後遺症以外の冠動脈疾患の例を抽出した。疫学、冠動脈の病型、発症前の異常所見の有無、発症時の運動種や強度を調査した。【結果】30例を抽出し、突然死26例、蘇生後後遺症なく回復4例で、うち2例ICD植込を確認した。学校種は小学6年1例、中学11例、高校15例、養護高校3例。男児28例。発症前の学校検診で12例異常なし、PVCとWPW症候群のため各1例がE可、発症5年前は心房粗動E禁で2年後異常なしが1例、15例は不明。病院精査や検案書に拠る病型を以下に示す。左冠動脈:肺動脈起始2例、右冠尖起始4例、起始異常(部位不明)1例、左冠動脈奇形(詳細不明)2例、左起始部狭窄3例、心筋ブリッジ1例。右冠動脈:左冠尖起始1例、起始異常(部位不明)1例、低形成4例、両側:動脈硬化性狭窄3例。左右不明な低形成2例と起始異常1例、単冠動脈1例、冠攣縮性狭心症4例が報告された。病型と学校種の関係は、左冠動脈の右冠尖起始4例及び起始異常(部位不明)1例は全て中学生、左冠動脈起始部狭窄3例は小学生と中学2例、右冠動脈左冠尖起始1例と右低形成3例が中学生。運動強度(5段階)は、19例はレベル5(最強)、7例はレベル4、1例はレベル3で発症し、3例は内容不明。運動種目は6例サッカー、5例バスケットボール、4例長距離走で、水泳、野球、テニス、ラグビー、剣道各1例、登下校中2例(徒歩と自転車)であった。【結論】左右冠尖起始部や開口部の異常は中学生で心停止を発症しやすい。サッカー、バスケットボール、長距離走でアスリートを目指す生徒では、冠動脈CT、MRI、心筋血流イメージングなどによる冠動脈の評価が望ましい。