[III-OR33-02] 川崎病の初回大量免疫グロブリン療法後における、血清IgG値を用いた追加治療適応診断
キーワード:川崎病, 不応予測, 血清IgG値
【背景】川崎病に対する大量免疫グロブリン療法(IVIG)の不応予測スコアが提案されている。しかし、臨床の場では不応かどうかの判断そのものに悩む場合もあり、初回IVIG後に、不応例で認められやすい検査所見を用いて追加治療適応の診断ができれば予後改善に役立つ。不応例ほどIVIG後の血清IgG値の上昇が少ないとの報告があり、血清IgG値が利用できる可能性がある。【目的】川崎病で初回IVIG治療後のIgG上昇量を反応群と不応群に分け比較し、cut off値を求める。【方法】2012年6月1日~2017年12月31日に当科に入院し、初回2g/kgのIVIG治療を受けた川崎病患者291名のうち2.0歳以下の患者155例を、不応群15例、反応群140例に分け、血清IgG前値、血清IgG後値、上昇量、上昇率、%上昇予測量を後方視的に比較した。【結果】不応群で反応群に比べ、血清IgG上昇量(1811mg/dL vs 2026mg/dL, p=0.018)及び, 血清IgG後値(2381mg/dL vs 2649mg/dL, p=0.009)が有意に低かった。血清IgG前値、IgG上昇率、%上昇予測量は不応群が反応群に比べ低かったが有意差はなかった. ROC解析によりcut off値は、IgG上昇量は1881 mg/dL、IgG後値は2300mg/dL、%上昇予測量は70%と決定した。【考察】一般にIVIG2g/kgの投与で血清IgG値は2000mg/dL上昇するが年齢により体液組成が変われば、IgG上昇量も変わる。血清IgG値について全年齢をまとめて検討することは難しく、体液組成の影響を減らすために今回は2.0歳以下を対象とし、cut off値を求めた。初回IVIG後に解熱し、炎症反応は改善したが、その他の症状が残存する症例などで追加治療の適応に迷った際に今回のcut off値を参考にすることができるであろう。【結論】2.0歳以下の川崎病で初回IVIG後の効果判定で、臨床症状と合わせてこれらのcut off値を参考にして追加治療を考慮するとよい。