第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演33(III-OR33)
川崎病・冠動脈・血管 4

2019年6月29日(土) 10:40 〜 11:20 第5会場 (中ホールB)

座長:鎌田 政博(広島市立広島市民病院 循環器小児科)
座長:野村 裕一(鹿児島市立病院 小児科)

[III-OR33-03] 大量免疫グロブリン療法(IVIG)不応性川崎病に対する2nd line治療としてのインフリキシマブ治療

須長 祐人1, 戸田 孝子1, 勝又 庸行1, 吉沢 雅史1, 河野 洋介1, 喜瀬 広亮1, 星合 美奈子2, 犬飼 岳史1 (1.山梨大学医学部 小児科, 2.山梨県立中央病院 小児科)

キーワード:川崎病, インフリキシマブ, 冠動脈

【背景】山梨川崎病プロトコールでは、以前より初回IVIG不応例に対する2nd lineの治療としてIVIG追加投与を施行し、不応の場合に3rd lineの治療としてインフリキシマブ (IFX) 療法を施行してきた。IFXが保険適応となったことを契機に、2016年10月からIFXを2nd lineの治療へ変更した。
【目的】2nd lineとしてのIFXの有用性をIVIG追加と比較し検討すること。
【方法】当院および関連病院において2010年7月から2018年9月までに治療した川崎病症例のうち、1歳以上の初回IVIG不応例を対象とした。2nd lineとしてIVIG 2g/kg追加投与を施行した2016年10月以前の症例をIVIG群、2nd lineとしてIFX 5mg/kgを施行した2016年10月以降の症例をIFX群とした。3rd line以降の追加治療は全例当院で施行した。有熱期間、3rd line治療の要否、3rd line治療のために当院へ転院するまでの期間、冠動脈病変、副作用の有無を後方視的に検討した。
【結果】期間内の川崎病治療症例914例中、1歳以上の初回IVIG不応例は94例であり、うちIVIG群は75例、IFX群は19例であった。有熱期間は、IVIG群が9.0±1.6日、IFX群が9.1±2.3日であった (p=0.87)。IVIG群の25例(33.3%)、IFX群の6例(31.6%)は3rd lineの追加治療を要した。発症から3rd line治療のため当院に転院するまでの期間は、IVIG群が8.5±2.0日、IFX群が7.3±0.6日とIFX群で短かった(p<0.05)。冠動脈病変は、IVIG群で12例(16.0%)に拡大を、2例(2.7%)に瘤形成(巨大瘤1例)を認めた。IFX群では4例(21.1%)に拡大を認めたが瘤形成はなかった。2群間で冠動脈病変発生率の差は認めなかった。治療に伴う重篤な副作用はなかった。
【まとめ】2nd lineとしてIFX治療はIVIG不応KDに対して安全に実施できた。IVIG追加と比較し、有熱期間、有効率、冠動脈病変の発生率において同程度であったが、追加治療を必要とされる重症例をより早期に高次施設へ搬送できる可能性が示された。