[III-OR33-04] 重症川崎病に対するシクロスポリンA静注療法の治療反応性予測
Keywords:川崎病, シクロスポリン, 不応予測
【背景】当院ではガンマグロブリン大量療法(IVIG)不応川崎病に対してシクロスポリンA(CsA)持続静注療法を第一選択としている。治療成績は良好であるが、解熱までに時間を要する症例や追加IVIGが必要な症例が存在する。【目的】IVIG不応川崎病に対するCsA静注療法への治療反応性を予測する因子を同定すること。【方法】対象は2010年10月から2018年12月にCsA持続静注療法を施行したIVIG不応川崎病64例(男児43例)で、年齢は2ヶ月から10歳5ヶ月(中央値2歳8ヶ月)。CsA静注療法は全例3mg/kg/日で開始、開始後24時間以内に解熱した症例を著効群、解熱に24時間以上を要した症例を不良群とし、治療反応性に関係する因子として患者背景、CsA投与開始時検査結果、治療経過を後方視的に検討した。【結果】著効群41例、不良群23例であり、両群間で性別、月齢、CsA投与開始病日に差はなかった。小林スコアは著効群で中央値5、不良群で中央値7と不良群で有意に高かった(p<0.01)。CsA投与開始前血液検査では好中球% 63.7±15.4 vs 78.3±9.1%(p<0.001)、血小板数 45.9±17.4 vs 35.7±10.5万/μl (p<0.05)、アルブミン 2.4±0.4 vs 2.0±0.3g/dl(p<0.01)、CRP 10.9±7.5 vs 17.1±8.1mg/dl(p<0.01)、IgG 3783±762 vs 3272±758mg/dl(p<0.05)と両群間で統計学的有意差を認めた。さらに、投与翌日のCsA血中濃度は361±99 vs 299±62ng/ml(p<0.01)と著効群で有意に高値であった。なお、一過性拡大を含めた冠動脈病変は6例に認め、著効例で1例、反応不良群で5例であった。【考察】診断時のリスクスコアが高くIVIG治療後も炎症所見の強い症例はCsA療法への反応に時間を要しており、治療反応性不良の予測因子となりうる。さらに、著効群では血清IgG値が高く、CsA血中濃度も高値であったことからも、治療反応性不良が予想される症例に対しては積極的なIVIGの追加投与やCsA投与量の増量が治療効果増強に寄与する可能性がある。