[III-OR34-04] 当院における成人先天性心疾患外来の現状
キーワード:成人先天性心疾患, Fontan, 妊娠・出産
【背景】小児循環器領域の治療の進歩により成人期に達する患者は増加している。当院では小児科が主体となって成人先天性心疾患外来を行っている。【目的】南大阪に位置し、開院40年の近畿大学病院における成人先天性心疾患診療の実態と今後の課題を明らかにすること。【方法】2017年4月から2018年3月までに近畿大学病院の小児科成人先天性心疾患外来を受診した患者について診療録より後方視的に検討した。【結果】受診総数は364例。構造異常のある先天性心疾患患者は276例、構造異常のない不整脈疾患は54例。川崎病後遺症は18例。以下、先天性心疾患の276例についての結果を述べる。男性は120例、女性は156例で、年齢は18~56歳で中央値は28.5歳であった。この1年に死亡したのは1例であった。術後症例が214例、ファロー四徴の術後が30例、フォンタン循環は22例、自施設での手術症例は146例(52.9%)であった。手術歴がないのは62例であった。基礎疾患としてダウン症は18例、その他の発達遅滞を伴う疾患が32例。チアノーゼがあるのは19例でeizenmenger症候群は2例であった。仕事に就いているのが137例(49.6%)、学生が32例(11.6%)であった。出産歴は36例にあった。定期受診はしていなかったが出産にあたり受診したのが6例であった。観察のみの受診が90例(32.6%)、投薬によるコントロールは95例(34.4%)であった。不整脈が主訴であったのは28例(10.1%)であった。【考察】現状を踏まえて課題としては、自施設の長期追跡患者とは限らない状態であり情報の移行、ダウン症など発達遅滞を伴う患者への対応、若年世代で社会生活を送っている患者が多く観察のみの受診も多いことからは脱落を防ぐための対策、フォンタン循環への対応、妊娠、出産を迎える女性への対応、などが考えられた。