第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

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一般口演

成人先天性心疾患

一般口演34(III-OR34)
成人先天性心疾患 1

Sat. Jun 29, 2019 8:30 AM - 9:20 AM 第6会場 (小ホール)

座長:森 善樹(北里大学メディカルセンター 小児科)
座長:土井 拓(天理よろづ相談所病院 小児科・先天性心疾患センター)

[III-OR34-05] 経過観察中に悪性腫瘍を合併した成人先天性心疾患の3例

家村 素史1, 鍵山 慶之1, 須田 憲治2 (1.聖マリア病院 小児循環器科, 2.久留米大学 小児科)

Keywords:成人先天性心疾患, 遠隔期合併症, 悪性腫瘍

【背景】TCPC術後遠隔期の合併症として肝良性腫瘍や肝細胞癌の報告が散見されるようになり、その要因や発生機序について精査が行われつつある。今回当院外来で経過観察中に3例の悪性腫瘍を経験したので報告する。(症例1)34歳 男性 TA(1b)の診断で10歳時にFontan術施行も、29歳時にAFL発症、コントロール不良のため右側Glennを残し、左肺動脈に人工血管をつなぐTCPC conversionを施行し症状は軽快し、外来経過観察となっていた。34歳時、自覚症状などなかったが採血でAFPが33万と上昇みとめ、CTおよびエコーで70mm台の腫瘤を確認。造影の状況から肝細胞癌が示唆され、現在治療方法について検討中である。(症例2)21歳 男性 Pierre-Robin症候群および大動脈縮窄複合術後で経過観察中。大動脈二尖弁による大動脈狭窄および肺高血圧症が残存していた。20歳時、タール便と下血で受診。大腸内視鏡検査で回盲部を半閉鎖するような巨大な腫瘤あり、術前に化学療法の可能性もあるため大動脈弁のバルーン拡大術を施行し、腹腔鏡下回盲部切除術を施行。組織診断は悪性リンパ腫で現在外来経過観察している。(症例3)62歳 男性 エプスタイン奇形で幼少期より近医にて経過観察されていたが右心不全と不整脈による症状増悪あり、57歳時に三尖弁置換術施行。今回左殿部血管腫の増大あり、CT評価をおこなったところ肝内の腫瘍を認めた。造影所見からは肝内胆管癌の疑いあり増大傾向にあるも、治療については希望されず、経過観察中となっている。【結語】先天性心疾患の生命予後が改善したことにより、今後術後遠隔期に悪性疾患を併発してくる症例が増加していくと考えられる。悪性腫瘍に対しての外科治療や化学療法には心疾患の治療経過や心機能評価が密接に関わっており、今後症例の蓄積とガイドラインなどの作成が必要になってくると考える。