第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

成人先天性心疾患

一般口演35(III-OR35)
成人先天性心疾患 2

2019年6月29日(土) 09:30 〜 10:20 第6会場 (小ホール)

座長:益田 宗孝(横浜市立大学附属病院 外科治療学)
座長:星合 美奈子(山梨県立中央病院 小児循環器病センター)

[III-OR35-05] 自然歴および外科的手術介入された単心室血行動態患者の現状

島田 衣里子, 篠原 徳子, 朝貝 省史, 佐藤 正規, 原田 元, 石戸 美妃子, 竹内 大二, 豊原 啓子, 稲井 慶, 杉山 央 (東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科)

キーワード:単心室血行動態, 予後, 成人先天性心疾患

【目的】自然歴および外科的介入をされた16歳以上の単心室血行動態患者の臨床像と予後について検討すること。【方法】対象は2011年1月時点で当院外来でフォローされていた16歳以上の単心室血行動態の患者。2019年1月までの心血管イベントに加え、臨床像について後方視的に検討した。【結果】対象は手術歴のない患者(N群)15例(男7例、40±4歳)、シャント術のみされている患者(S群)15例(男7例、31±7歳)、肺動脈絞扼術のみ施行されている患者(P群)5例(男4例、33 ±5歳)、Glenn手術まで施行されている患者(G群)11例(男5例、37±13歳)、Fontan手術を施行されている患者(F群)213例(男104例、27±8歳)で、全体の平均観察期間は7±2年であった。経過中、N群では3例(2例:心不全、1例:突然死)、S群では4例(4例:心不全)、P群では1例(突然死)、G群では4例(3例:心不全、1例:突然死)、F群では15例(心不全:7例、突然死:3例、PLE:2例、肺梗塞:1例、脳梗塞:1例、その他:1例)が死亡していた。NYHAクラスがIII以上であった症例は、N群は4例、S群は4例、P群は0例、G群は9例、F群は4例で、高NYHAクラスは死亡と関連していた。【結語】手術歴のない単心室血行動態患者も、比較的よい条件下であれば低いNYHAクラスで経過し、経過中も合併症は起きていなかったが、Glenn手術後の患者はNYHAクラスも高く、死亡率が高かった。Fontan手術後の患者では死亡率は低かったが、Fontan術後にみられる多臓器にわたる合併症に対する治療を要していた。