第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

一般口演

電気生理学・不整脈

一般口演36(III-OR36)
電気生理学・不整脈 2

Sat. Jun 29, 2019 10:30 AM - 11:20 AM 第6会場 (小ホール)

座長:宮﨑 文(天理よろづ相談所病院 小児循環器科・急性期疾患センター)
座長:芳本 潤(静岡県立こども病院 循環器科)

[III-OR36-01] 先天性完全房室ブロックの臨床像 -当院の29年の経験から-

足立 俊一, 渡邉 まみ江, 杉谷 雄一郎, 川口 直樹, 松岡 良平, 宗内 淳 (九州病院 小児科)

Keywords:完全房室ブロック, ペースメーカー, 先天性不整脈

【背景】近年,先天性完全房室ブロック(以下CCAVB)は適切なペースメーカー植え込み術(以下PMI)によって良好な予後を得られることが多い.CCAVBの臨床像を検討した.【対象と方法】1990-2018年に経験したCCAVBの14例について年齢,診断時期,在胎週数,出生体重,Apgar Score(1分値, 5分値),出生時心拍数,胎児水腫の有無,母体自己抗体の陽性率,観察期間,合併心疾患, PMI施行時期,初回モード,PM関連合併症,generator交換,経静脈PMの移行,成人科への移行,現在のNYHAについて後方視的に検討した.【結果】 年齢は9-28歳(中央値11.9).診断時期が確認できた12名中,胎児診断は9例(在胎23.9±2.0週),出生直後が2例, 1例は5歳だった.在胎週数は35.5±3.4週. 出生体重 2.6±0.5kg.Apgar Scoreは1分値 6.5±2.1,5分値 7.1±2.5.出生時心拍数は34-75/min(中央値53).母体抗SS-A/SS-B抗体陽性は75%.胎児水腫は3例に合併した.観察期間は14.2±6.1年.治療を要した合併心奇形はPDA 5例(結紮 3, コイル塞栓2). PMIは出生当日-19歳で行われ57%が1か月以内,79%が1歳以内だった.19歳の症例は予定外の妊娠で妊娠28週にPMIを余儀なくされた.初回モードはVVIが64%, DDDが36%.PM関連合併症はリード断線が4人で9本,リードによる心絞扼が1例, PM induced dilated cardiomyopathyが1例. 心機能低下を伴わない原因不明の心室細動が1例でICD植込みとした. 死亡は1例で胎児水腫悪化のため28週1366gで出生, 直後からペーシングを開始したが肺出血とPM不全のため生後40時間で失った.Generator交換は平均1.71回.経静脈PMへの移行は14.4±1.7歳で4例.5名は23.7±4.8歳で成人科へ移行した.生存する13名のNYHAは全てclass Iで安定した生活を送っている.【考察】 適切なPM治療によりCCAVBは概ね予後良好だった.一方でDCMや心絞扼など少数だが致命的な合併症には十分な注意が必要である.