[III-OR38-04] 幼弱血小板比率(IPF)を用いたフォンタン術後の血小板数減少の病態解明
キーワード:IPF, フォンタン, 血小板
【背景】骨髄から放出されたばかりの血小板はRNAが豊富で網血小板と呼ばれ, 末梢血における網血小板その比率IPF (immature platelet fraction)は、骨髄の血小板産生能を反映し骨髄巨核数と相関する。骨髄機能が正常なら血小板が増えると巨核球は減り、逆に血小板が減ると巨核球は増えるため、健常人ではIPFと血小板数は逆相関する。フォンタン術後患者において血小板数の減少をしばしば経験するが、その病態の詳細は不明である。【方法】 フォンタン術後患者でIPFを測定した20例を後方視的に検討した。【結果】 5例で血小板数の低下(血小板数<15万/μl)を認めた。血小板数低下群と正常群では、血小板低下群の方がT-bilが高値であったが、その他の肝機能および肝硬化指標、腎機能には差がなかった。血小板数とIPFは、一般の場合と同様に、逆相関していたが、血小板数とIPFの積の値は幅広く分布し、白血球数と有意な正の相関(r=0.6)、末梢静脈圧(フォンタン術後ではCVPと相関する)と有意な負の相関(r=0.85)を示し、Fontan循環のうっ血が骨髄造血障害と関連し、血小板減少にも関与している可能性が示唆された。【考察】 フォンタン術後患者での血小板数低下の病態は、1)IPF増加があり骨髄での血小板産生は亢進しているが末梢での血小板消費が亢進している場合、2)IPFの増加がなく、骨髄での産生が低下している場合、の両方があると考えられる。一般的には肝機能悪化に伴う1)の病態が多いものと考えられるが、必ずしも肝機能悪化を伴っているわけではなく、フォンタン術後合併症としての骨髄機能障害である可能性も考えられ今後の検証に値する。IPFはフォンタン術後臓器障害の評価の一助となりうる。