[III-OR39-01] 在宅医療を必要とする先天性心疾患児の現状
キーワード:在宅医療, 先天性心疾患, BNP値
【背景と目的】先天性心疾患(CHD)の救命率上昇の中で、濃密な在宅ケアを必要とするものも散見される。CHD児の在宅医療の現状を把握し問題点を明らかにする。【方法】2011年度-2018年の当院で在宅医療(在宅酸素、人工呼吸器管理、気管切開、経管栄養、寝たきり処置、訪問看護)を必要とする児は延べ392例でうちCHD児は220例であった。2種以上の在宅医療を享受している57例を対象とし臨床像と予後を後方視的に検討した。【結果】年齢4.5(0.5-59)歳、男女比 27:30、BMI 13.9(8.2-21.7)、SpO2 90.5(70-100)%、BNP値 106(4-883.6)pg/mL、ROSS分類(呼吸不全重症度)1-2 25例、3-4 32例、CHD重症度分類 重症30例であった。在宅酸素51例(89%)、在宅人工呼吸器管理8例(14%)、気管切開10例(18%)、在宅経管栄養35例(61%)、在宅寝たきり処置10例(18%)、訪問看護47例(82%)であった。観察期間中の死亡例は5例(9%)で性別、SpO2、ROSS分類、CHD重症度分類においては死亡との関連はなかったが、死亡例においてBMIは低値の傾向があり(P値 0.051)、BNP値は有意に高かった(P値 0.034)。【考察】在宅医療児の予後関連因子として、呼吸状態の重症度よりも心疾患重症度の関与が大きく、心疾患の診断名ではなく、心不全の状態(BNP値)が影響していた。小児在宅医療のネットワーク構築を進めるにあたり、BNP値なども情報共有してゆく必要があると考えた。