[III-P73-03] 皮下注用免疫グロブリン製剤を用いたγグロブリン補充療法と陰圧人工呼吸器を用いた呼吸理学療法で入院治療が不要となったFontan術後蛋白漏出性胃腸症の1例
キーワード:Fontan術後, 蛋白漏出性胃腸症, ガンマグロブリン補充療法
【はじめに】Fontan術後の蛋白漏出性胃腸症(PLE)は対症療法が中心となるため入退院を繰り返すことになり、患者のQOLは著しく害される。今回我々は皮下注用免疫グロブリン製剤によるγグロブリン補充療法と、陰圧人工呼吸器(RTX)による呼吸リハビリを外来で定期的に行い長期にわたり入院を回避できている症例を経験した。【症例】6歳女児。左側相同心、両大血管右室起始、肺動脈狭窄、下大静脈欠損(半奇静脈結合)。1歳1ヶ月時Total cavopulmonary shunt, 2歳3か月時Total cavopulmonary connection (肝静脈を半奇静脈に吻合、fenestration作成) を施行。術後1ヶ月のカテーテル検査でfenestrationの閉塞を確認。術後11か月でPLE発症、プレドニゾロン、アルブミン補充を開始。心臓カテーテル検査では半奇静脈圧は平均10mmHgと低値であったが、内胸動脈から肺動脈への側副血管を多数認め、これを塞栓した。その後PLEは改善したが、術後2年8か月時感冒を契機にPLEを再発。RTXによる呼吸リハビリ、ヘパリン、プレドニゾロン、オクトレオチド投与、アルブミン補充を行ったが改善なく、入退院を10回以上繰り返した。術後3年で心臓カテーテル検査を施行。半奇静脈平均圧12mmHg、肺動脈から半奇静脈への引き抜き圧較差3mmHgであり同部位へのバルーン拡張を施行、圧較差は1mmHgまで低下したがPLEは改善しなかった。QOLを考慮し外来で定期的に皮下注用免疫グロブリン製剤によるγグロブリン補充とRTXを用いた呼吸リハビリを行ったところ入院を要さずに外来通院のみで管理可能な状態となった。現在まで約1年半、入院することなく経過している。【考案】Fontan術後のPLEはRTXなどの呼吸リハビリと皮下注用免疫グロブリン製剤の使用することで入院回数を減らし、児のQOLを改善させる可能性がある。