[III-P73-04] フォンタン術後 蛋白漏出性胃腸症に対してbudesonide腸溶性顆粒充填カプセルを使用した4症例の経験
Keywords:フォンタン, 蛋白漏出性胃腸症, budesonide
【背景】蛋白漏出性胃腸症(以下PLE)はフォンタン術後遠隔期の4-13%に発症するとされる難治性の疾患である.PLE治療の一つとしてステロイド治療が行われるが,副作用が問題となることがある.近年,肝初回通過効果が大きく全身暴露の少ないステロイドであるbudesonide腸溶性顆粒充填カプセル(以下BUD)投与に関する報告が海外を中心に散見される.今回我々は,フォンタン術後PLE患者4例に対して院内倫理委員会で承認を得てBUDを投与し,一定の効果を得られたため報告する.
【症例1】15歳女性.診断:DIRV, CoA.2歳でTCPC施行.7歳でPLE発症.PSL投与中に糖尿病,高脂血症を発症しPSL中止.PLEによる消化管出血で頻回の輸血を要していた.BUD(9mg/日) 開始後約6か月で輸血不要となった.糖尿病や高脂血症の再発はなかった.
【症例2】11歳女性.診断:HLHS variant.1歳7か月でfTCPC施行.9歳でPLE発症.肺炎を契機にPLE増悪し連日のアルブミン補充を要していた.BUD(6mg/日) 開始後約2週間でアルブミン補充が不要となった.
【症例3】24歳女性.診断:mVSD, straddling MV.5歳でfTCPC施行.13歳でPLE発症.症状なく経過していたが,腹部膨満感が出現したためBUD(9mg/日) 開始.開始後,高血糖・上腹部痛を認めたためBUD減量(6mg/日)した.BUD開始1か月後には症状は改善し,血清Alb濃度の上昇(1.8g/dL→2.5g/dL)を認めたが,洞性頻脈が出現しβ遮断薬内服を要した.
【症例4】22歳男性.DORV{I.D.D}, supero-inferior ventricles, CoA.3歳でTCPC施行.19歳でPLE発症.長らく症状なく経過していたが,腹部膨満感,下腿浮腫が出現し始めたため,BUD(9mg/日) 開始.BUD開始1か月後には症状は改善し血清Alb濃度の上昇(1.9g/dL→2.9g/dL)を認めたが,洞性頻脈が出現しβ遮断薬内服を要した.
【考察】フォンタン術後PLEに対してBUDを投与し,臨床症状や検査データの改善を得たが,副作用がみられる症例もあり,注意が必要である.
【症例1】15歳女性.診断:DIRV, CoA.2歳でTCPC施行.7歳でPLE発症.PSL投与中に糖尿病,高脂血症を発症しPSL中止.PLEによる消化管出血で頻回の輸血を要していた.BUD(9mg/日) 開始後約6か月で輸血不要となった.糖尿病や高脂血症の再発はなかった.
【症例2】11歳女性.診断:HLHS variant.1歳7か月でfTCPC施行.9歳でPLE発症.肺炎を契機にPLE増悪し連日のアルブミン補充を要していた.BUD(6mg/日) 開始後約2週間でアルブミン補充が不要となった.
【症例3】24歳女性.診断:mVSD, straddling MV.5歳でfTCPC施行.13歳でPLE発症.症状なく経過していたが,腹部膨満感が出現したためBUD(9mg/日) 開始.開始後,高血糖・上腹部痛を認めたためBUD減量(6mg/日)した.BUD開始1か月後には症状は改善し,血清Alb濃度の上昇(1.8g/dL→2.5g/dL)を認めたが,洞性頻脈が出現しβ遮断薬内服を要した.
【症例4】22歳男性.DORV{I.D.D}, supero-inferior ventricles, CoA.3歳でTCPC施行.19歳でPLE発症.長らく症状なく経過していたが,腹部膨満感,下腿浮腫が出現し始めたため,BUD(9mg/日) 開始.BUD開始1か月後には症状は改善し血清Alb濃度の上昇(1.9g/dL→2.9g/dL)を認めたが,洞性頻脈が出現しβ遮断薬内服を要した.
【考察】フォンタン術後PLEに対してBUDを投与し,臨床症状や検査データの改善を得たが,副作用がみられる症例もあり,注意が必要である.